人は、社会関係、生産関係を離れて、すなわちこれらの関係から独立して、自らの意思で行動するということはありえない。暴力団が本能的に暴力性を備えているがゆえに暴力を振るうということはありえない。社会関係や生産関係からの要請があってはじめて、彼らに金銭を授受する企業の存在があってはじめて、暴力を振るうのである。暴力団員も自らの意思で入るわけでなく、入らざるをえない社会関係、生産関係の構造があるのである。暴力団から接近してきて金銭を要求されたとしても、既成事実として現在までに暴力団を利用した企業家が存在したからである。

暴力団が廃業する原因の第一位は、企業から搾取されて生活ができなくなるからである。暴力団が経営する一中小企業が自らの資金だけで自らの意思で大量の大麻覚醒剤や武器を仕入れることができるであろうか。誰が売買を取り仕切っているかはその経済関係を見れば推論ができるであろう。暴力団は、大企業の資本の利益を守らされているのである。他者なのである。

うぶな大学生は、経団連や対外問題評議会の株主や役員を尊敬する人物として挙げるが、広域指定暴力団の組長より遥かに怖い、国際金融資本の工作員なのである。金融資本家は、体育会出身の学生を雇い、労組を弾圧させてきただけでなく、暴力団を雇用し、資本関係、生産関係を形成する。暴力団を問題にするよりも、彼らに命令を下す金融資本家を問題にしなければならないのである。国際金融資本家は、小泉のように暴力団の組長を使用人たる日本の総理に据えることすらある。

東京都の暴力団排除条例が10月1日に施行されたが、中小の飲食系企業ばかり摘発しても、大企業の政策に反対意見を唱える者を監獄に送り込むだけでなく、暴力団を雇って反対意見を唱える者の命をも奪う金融資本家やその代理人たるブルジョア政党を問題にしない限りは、問題はわずかしか解決されない。これまでも大企業のこうした問題は指摘はされてきたが、金融資本家に圧力をかけられて消滅させれてきたからである。 警察も司法も実行犯たる暴力団を逮捕したら、命令者を追求することをしない。ブルジョア資本主義維持に貢献するものとしての権力装置だからである。弁護士会も医師会も税理士会もブルジョア政党の支持基盤である。暴力団が自らと社会的関係、生産関係のない、赤の他人をブルジョアの政策に反対しているだけで自者の立場として殺す必要性がない。ブルジョアの反対者を消してブルジョア市場経済が維持されても自分たちは再び搾取されるだけだからである。社会的関係、経済的関係から探れば命令者は明らかであっても、暴力を排除したら終わりで、それ以上はわかっていながら誰も追求しない。