同族会社が役員に地代家賃を支払った場合

同族会社における役員(株主でもあります。)の自宅を使用して、当該同族会社の株主が使用人を使って事業をしていたとします。

当該同族会社がその役員に対し地代家賃を全く支払わなかった場合又は市場の相場よりも低廉な地代家賃しか支払わなかった場合には、

税務上、どのように取り扱われるでしょう。

土地や家屋が利潤を産み出すのではありません。

利潤を産み出すのは、労働です。

しかし、労働は評価せずに、利潤を国際金融資本や地主や家主に分配しています。

労働力は、家屋を使用して労働します。

土地を削って家屋を支える基礎を労働力が作ります。

土地と家屋は生産手段です。

しかし、法律を作らせて、生産手段の賃借料を払ってもよいことにしてしまっています。

借地権の付いた土地の所有権を底地と言います。

土地を借りている者(借地人)が労働力を使用して産み出した利潤を、

労働が産み出したものではないとして

法律上の土地の所有者が取得してしまう権利を底地といい、

借地人が取得してしまう権利を借地権といいます。

底地の評価と土地の評価は別のものです。

底地の評価+借地権の評価=土地の価格ではありません。

法律上の土地の所有者に利潤を取られた労働者は、法律上の土地の所有者が預金という手段で

国際金融資本に前貸しをさせられ、現金商品を使って商品やサービスを買って対価を支払うことができません。

法定の給料(現実には労働の対価ではありません。)の支給前に渡された現金は、労働の対価の返済ではなく、

貸付金にされてしまいます。

法律上の土地の所有者は、担保という実体のない後付けの方便(観念)によって

処分権を取り上げられています。

前回の給与を使って労働力を再生産をせざるを得ません。

経済上の土地の処分権は国際金融資本が取得しています。

借地人は、法律上の土地の所有者に利潤をに分配しないと、

借地人が利潤を留保したものとして借地権の評価が上がります。

現金は、価値の備わっていない空想上の商品です。

現金は価値を産み出しません。

にもかかわらず、貸付金利子として国際金融資本に利潤を分配させられています。

しかし、地主が法人を設立していて、その役員個人が借地人である場合、法律上の所有者である法人に利潤を分配しないと、法人側においては、役員賞与を支払ったものと認定されることがあります(譲渡収入と両建てで計上させられます)。借地人が役員以外の個人(特殊関係使用人を含む)、同族関係法人の場合には、法人税法上、寄附金と認定されることがあります。所得税法上は一時所得となります。

地主が設立した法人が借地人で地主が役員個人である場合には、法人が役員個人に利潤を分配しないと、法人の側には、借地権の評価額と受贈益が両建てで計上されてしまいます。役員個人の側においては課税関係はフィクションされません。

地主と借地人の双方が、法人である場合には、借地人の方の法人が地主の方の法人に利潤を分配しなければ、地主である法人の方に寄附金と譲渡収入、借地人である法人の方に借地権の評価額と受贈益が両建てで計上させられることがあります。

労働者は、債権者でありながら、国際金融資本が自作自演してフィクションした国債の返済を負担させられます。

国債の返済負担である法人税は、現場の労働者に転嫁されるのです。

但し、借地権者が立退料をもらいませんよと一筆書いて届出をすれば、役員報酬の認定は免除してあげますよと言っているわけです。

個人間、特に、親族間などで土地の賃借が行われる場合は、必ずしも資本市場における経済関係に基づいた取引は行われず、将来土地の無償返還を行うことが余儀なくされている場合には、このような取引は賃貸借契約ではなく使用貸借契約と考え、借地権は実現しないとする取り扱いがあります。

法人が借地権の設定により他人に土地を使用させる場合、通常、権利金を収受する慣行があるにもかかわらず権利金を収受しないときには、原則として、権利金の認定課税が行われます。

個人間、とくに親族間などで土地の賃借が行われる場合は必ずしも経済的合理性に基づいた取引は行われず、また、将来的には土地の無償返還を行うことが想定されていると考えられるので、このような取引は賃貸借契約ではなく使用貸借契約と考え、そもそも借地権は発生しないとする取り扱いがあります。

しかし、権利金の収受に代えて相当の地代を収受しているときは、権利金の認定課税は行われません。

この場合の相当の地代の額は、原則として、その土地の更地価額のおおむね年6パーセント程度の金額です。
土地の更地価額とは、その土地の時価をいいますが、課税上弊害がない限り次の金額によることも認められます。

(1) その土地の近くにある類似した土地の公示価格などから合理的に計算した価額
(2) その土地の相続税評価額又はその評価額の過去3年間の平均額

なお、相当の地代を授受することとしたときには、借地権設定に係る契約書において、その後の地代の改定方法について次の(1)又は(2)のいずれかによることを定め、遅滞なく「相当の地代の改訂方法に関する届出書」を借地人と連名で法人の納税地の所轄税務署長に提出することが必要です。届出がされない場合は、(2)を選択したものとして取り扱われます。
(1) 土地の価額の値上がりに応じて、その収受する地代の額を相当の地代の額に改訂する方法
この改訂は、おおむね3年以下の期間ごとに行う必要があります。
(2) (1)以外の方法

(法令137、法基通13-1-2、13-1-8、平元直法2-2)

裁判例では、公租公課の2.5~3.0倍を相当の地代とするものがあります(東京地判昭和60年10月15日、東京高判昭和59年6月20日)

因みに、借家権の認定課税という制度は、税法上存在しません。

それまで、相当の地代家賃を同族関係者である個人地主、個人家主に支払っていた場合に支払のをやめたり、減額改定した場合はどうなるでしょう。

地代家賃の評価額(経済上は人件費)と同額が債務として貸方に建ち、その弁済がないので、法人の側には受贈益が建ちます。

個人の側には所得税の規定に寄附金課税はありません。

土地については、無償返還の届出を税務署に提出していたか否かは関係ありません。

法人が、役員所有の土地建物、その他資産に高額に賃借料を支払ったと認定されたにも、経済上利潤の分配ですから、時価との差額も法人税法上は寄附金、所得税法上事業所得又は雑所得となります。

法人が地代家賃を支払っている場合には、法人が法律上の所有者であるか否かに関わりなく、相当な社宅家賃を徴収しないと、経済的利益の収受があったものとして評価されることがあります。

法人ー個人間の資産の賃貸借に付随する費用

法人が個人の資産を借りて他に貸している場合には、借上げ料を計上することができます。

減価償却(経済上は人件費です)は、事業に使用している部分を限度に損金に算入できます。

固定資産税は、法律上の所有者の必要経費となります。

法人が個人の固定資産税を支払った場合、法人税法上は、交際費ですが、実務上はスルーされています。

法人が個人又は同族会社の使用人に支払う管理費は、労働の実体があれば、労働の対価ですから、他の法人と比準する必要はありません。

税務調査で市場の相場より低いか否かよりも、実際にさせた労働について説明することの方が重要です。

他の法律との関係

役員個人の所有の建物を使用して法人の事業をしている場合には、役員個人の不動産収入について所得税の確定申告をしなければなりません。

事業者に建物を貸しているのであれば、消費税法上、課税売上となります。

消費税と本体価格を区別せずに請求した場合には、総額が税込価格とみなされます。

役員個人の自宅の床面積の1/2を超えて無償返還の届出を出していたか否かは関係ありません。いる場合には、役員個人は、所得税の住宅借入金等取得控除を適用することができません。

役員個人が自宅の床面積の90%以上を社会における労働で使用しているのであれば、床面積の全てが居住スペースであるとして住宅取得控除を適用することができます。

居住に供していた財産を譲渡した場合の3,000万円控除の特例は、事業を行っていた部分については適用されません。