確定申告を提出したが、その後、提出した確定申告書に誤りがあった場合、所得の金額を改める手段としては、当初の申告より納付する税額が増えた場合は、修正申告、更正の請求というものがあります。

しかし、確定申告書の提出期限内であれば、税額が増える場合でも訂正申告という手続で済ますことができます。

訂正申告とは何でしょう?

修正申告

修正申告は、税務署からの指摘(増額更正といいます)を受けるまではいつでもできます。また、不足している税額のほかに延滞税が課されます。

税務署の調査を受けた後で修正申告をしたときには、不足している税額や延滞税プラス、その税額の10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い税額を超える場合には15%)の過少申告加算税が課されます。さらに、当初の申告内容に仮装や隠ぺいがあったと事実認定されると、35%(税額によって40%)の重加算税が課されることになります。

これまで過小申告加算税は、税務調査を受ける前に自分から修正申告をすればかかりませんでしたが、税務署等から調査対象税目および調査対象期間を通知された後でも、更正予知までに提出された修正申告が提出されれば不適用でした。

しかし、平成28年度に法律が変わり、5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い税額を超える場合には10%)とする過小申告加算税が適用されることになりました。税務調査の事前通知から税務調査実施日までに修正申告を提出しても過小申告加算税が課される場合があることとなりました。

この法律は、平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来するものから適用されます。いずれにしても、修正申告には「税務署から事前通知がある前に、自分から修正申告をした場合にのみ、過少申告加算税を免除してやるということです。

但し、修正申告書を提出してしまうと、不服申立てを行うことができませんので、課税側と所得金額、税額について争う場合には、更正処分を受けることです。

更正の請求

次に更正の請求について説明します。

更正の請求の場合には、更正の請求をする理由、請求をするに至った事実関係の詳細、事実関係を証する書類を記載または添付して、更正の請求の手続きをすることになります。

しかし、更正の請求書が提出されると、ただちに過大納付されていた税額が還付されるわけではありません。税務署内で審査があって、更正の請求が経済上その存在があって法律上の要件を満たしてしなければ、受理されず、満たした場合に初めて受理されて、その内容を税務署内外で調査し、その請求内容が事実に基づいていると認められたときは、減額更正という行政処分が行われ、納め過ぎの税金が還付されます。更正の請求は減額更正の審査依頼にすぎません。

訂正申告

確定申告書を提出した後に、申告書に事実関係とは異なっていることを確認した場合、申告期限内に再度確定申告書を出し直すことを訂正申告といいます。

訂正申告は、最初に提出したものと同じ様式の確定申告書の再作成が必要です。控えを見ながら内容を転記して、間違った箇所を修正した申告を記入します。

確定申告書1枚目の上部に「訂正申告」、余白欄に訂正前の申告年月日と訂正前の申告税額を朱書きで加えます。

新しい申告書と訂正の内容を証明できる書類を添えて再提出します。確定申告期限内であれば、何度提出しても、日付の一番新しい最後に提出した確定申告書が正式なものとして取り扱われます。

訂正申告できるものについては、下記のようなケースがあります。

課税側が還付手続が開始していれば、訂正申告が受理されないという見解があるようですが、課税側が税務署の職員に新たに追加で労働をさせたことに給与を追加で支払わなければならないという経済関係に基づく課税側の都合であって、法律上は、申告期限が定められているわけですから、訂正申告を受理させましょう。

①複数の証券会社で株式や投資信託の売買で利益が出ていたけれど、提出した確定申告書を見直した結果損切りしたことを発見しトータルで損失となった。

②特定口座で所有する投資信託の定期的な収益分配金から税金が源泉徴収されていたが、書類を整理した結果、他の証券会社で年間を通じて投信の売買はマイナス収支であることを申告書提出後に発見した。

③所得税の確定申告はしたけれど、株式の売買や配当に関わる申告は全くしていなかった。

④今年に限っていえば株式の損失だけで申告しても戻ってくる税金はないが、科年分の損失を3年間繰り越すという手続をしていなかった。

⑤証券会社で3年前に購入した投資信託を昨年売却し、損失が発生しただけなので申告はしていなかったが、銀行で購入してした投資信託からは毎月分配金が発生して税金が源泉徴収されており、申告すれば税金の還付を受けられる

⑥昨年、扶養に入れた親の病院の領収書が出てきた。

⑦昨年、半年間通院した際の交通費を、申告しなかったけれど、集計してみると大きな金額になった。

※所得が無いか少額で配偶者の扶養に入っている場合は、株式や配当の申告を行うことで、その後の扶養から外れたり、住民税などの税金の負担が大きくなる場合があります。

※後期高齢者医療制度に加入されている場合、株式や配当の申告を行うことで、医療費の自己負担額が増える場合があります。

繰越損失、上場株式会社の譲渡損失よりも上場株式等の配当、譲渡益の方が評価額が大きい場合には、所得税の確定申告においては、損失を超える部分を含め全ての所得を計上しなければなりませんが、市区町村によっては、住民税の確定申告をすることによって、株式の譲渡益、配当について申告不要とすることによって、譲渡益や配当に係る住民税の金額を取り戻すことはできませんが、所得金額が増えるわけではないので、国民健康保険料、保育費の新たな負担を免れることができる場合があります。

⑧配偶者控除や配偶者特別控除漏れや計算間違いがあったとき

ふるさと納税をしていたいことを申告書に記載しなかった。

ふるさと納税は地方自治体への寄付と取り扱われ、寄付金控除として所得控除の対象となります。ふるさと納税は所得控除を受けられます。

⑨寄付金控除の計算間違い、計上漏れ

⑩地震保険控除の計算間違い、計上漏れ

⑪生命保険控除の計算間違い、計上漏れ

⑫老親との同居されている方の扶養控除計算ミスや漏れ

⑬雑損控除の計算間違いや計上漏れ

⑭寡婦、寡夫控除の計上漏れ

⑮所得拡大税制の申請漏れ。

⑯当初申告要件の租税特別措置法の適用が受けられることを確認した。

これ、すごい重要です。

⑰住宅取得控除を申請していなかった。

⑱基礎控除の38万円

今年初めて申告する人は、税務署から用紙が送られてきません。

別途入手した用紙には、基礎控除の38万円がデフォルトで記載されていません。

まとめ

訂正申告の場合、当初より税額が増える場合には、延滞税がかかりません。

当初の申告よりも税額が減る場合には、更正の請求よりも手間がかかりません。

税務署の窓口は、時計という架空商品が17:00を回ると締まりますが、翌朝、職員がポストから郵便物を拾い上げるまでは、

期限内申告です。

青色申告特別控除が10万円で、租税特別措置法の適用が受けられる事実関係がない人は、申告期限を過ぎても、青色申告が取消されることはありません。延滞税も、申告期限を過ぎてすぐに、申告金額がわずかであると評価されれば、延滞税の執行は事実上してきません。

還付申告の場合は、確定申告期間に関係なく、その年の翌年の1月1から5年間であれば、いつでも提出することができます。

いずれの場合も、申告書を作成するという労働を強化して申告期限に間に合わせても、後から、必要経費の漏れや所得控除の漏れがあったことが確認できた場合には、更正の請求という面倒な手続きを踏むこととなります。

人を雇っていないフリーランスの人や副業をしているサラリーマンの人は、常にオンタイムで仕訳をできる人ばかりではありません。

翌年の3月以降に申告する今年分の所得税の確定申告からは、次のような手順で作成するのがやりやすいと思います。

今年中の日付に、発送を含む労働の提供を受けたものについては必要経費に上げる。

発送を含む労働の提供をした日付が年内であることが確認できたものについては収入として計上する。

但し、ものによっては、評価が確定した日付で計上せざるを得ないものもあります。

収入として計上した取引に対応する必要経費を棚卸資産に振り替える。

すなわち、PCで役務の提供を受けた、したことの経過が管理がされている事業者と逆の順番で作業をするわけです。

租税特別措置法の適用が受けられるかどうかはっきりと確認できなかったものについても、所得税の確定申告書で申告しておく。