海外で支払った医療費は、医療費控除の適用を受けることができる場合があります。
しかし、無制限に受けられるというものではありません。
海外で支払った医療費を所得から控除することができる人
海外で観光をした場合であっても労働をした場合でも適用を受けることができます。
但し、これは日本の居住者であることが条件です。例えば、海外赴任で日本の居住者ではなくなっていた期間が1年以上と評価されれば、その期間に海外の病院等で支払をし、その後、日本に戻って来ても、日本の居住者でない期間に支払った医療費は対象となりません。
日本の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは全ての経済上の事実関係を総合して認定されることになります。
したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで確定されます。
ある人の滞在地が2か国以上にわたる場合には、職務内容や契約をはじめ全ての事実関係を基に「住所の推定」を行うことになります。
「居所」は、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」のことであるとされています。
租税条約においては、個人については、「恒久的住居」、「利害関係の中心的場所」、「常用の住居」そして「国籍」の順に考えて、どちらの国の「居住者」となるかが認定されます。
支出した医療費の評価
日本の居住者は、国内外を問わず、医師の診療に直接要した費用であれば、医療費控除の中に含めることができます。
現地の通貨で支出した医療費は、支払った日付けの電信売相場と買相場の仲値で円で評価して日本で支払った医療費と合算します。
海外では、日本の社会保険は適用されないので、一旦10割負担した後、還付を受けることになります。
市町村の国保窓口で「診療内容明細書」「領収明細書」用紙を受け取り、旅行に持参します。
「診療内容明細書」「領収明細書」に現地の病院で記入してもらいます。
国民健康保険や各業界の健康保険については、還付の申請を行うと、日本国内において同様の診療を受けた場合の診療報酬額を自己負担額との差額が還付されることになります。
海外療養費は、基本的には、日本で医療を受けた場合の診療報酬点数に換算して算定されます。
(1)算定した額が海外で実際に患者が支払った額(日本円に換算した額)を下回る場合には、算定した額から自己負担分(原則3割)を控除した額が払い戻されます。
(2)算定した額が海外で実際に支払った額(日本円に換算した額)を上回る場合には、実際に支払った額から自己負担分(原則3割)を控除した額が払い戻されます。
海外で支払った日の翌日から起算して2年を経過した日と評価されたことをもって、申請する権利がなくなります。