領収書は、法人税法上7年保存することが義務付けられています。

平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間に延長されました。

因みに、商法上は、10年保存することとされています。

所得税法上は、白色申告の場合、領収書は、確定申告の提出期限を起算点にして5年、青色申告の場合には、7年(前々年の所得が300万円以下の場合は5年)となっています。

消費税法上は、後述するように、仕入税額控除の要件として仕入れに関する書類を保管することが定められています。

領収書は、上様と書かれているものでも、取引の実体があって、それを生産手段にして労働に使用していれば、必要経費として認められます。

印紙が貼っていない領収書も、印紙を貼るのは、支払を受けた側の義務ですので、それが貼られていないからといって必要経費として認められないというわけではありません。

領収書には、領収した店側の押印がなくても必要経費として認められます。押印は、支払者でも、認印を買ってきて押すことができてしまいます。

購入したのに、領収書がないと経費にならないの?

領収書をなくしてしまったり、もらえなかったりした場合はどうすればいいのか

領収書は、店側が控えを保存しています。くれなかったからといって自分で書くことはできません。¥や-が付いていて改ざんすることができなくなっていますが、実際のところは、白紙の領収書をもらってきて金額を書き込むということは行われ、少額であることから税務調査ではスルーされています。

領収書は必ずしもなければならないものなのか、それとも、代わりに証明できるものがあればいいのか。

消費税法30条

9  第七項に規定する請求書等とは、次に掲げる書類をいう。

一  事業者に対し課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この号において同じ。)を行う他の事業者(当該課税資産の譲渡等が卸売市場においてせり売又は入札の方法により行われるものその他の媒介又は取次ぎに係る業務を行う者を介して行われるものである場合には、当該媒介又は取次ぎに係る業務を行う者)が、当該課税資産の譲渡等につき当該事業者に交付する請求書、納品書その他これらに類する書類で次に掲げる事項(当該課税資産の譲渡等が小売業その他の政令で定める事業に係るものである場合には、イからニまでに掲げる事項)が記載されているもの

イ 書類の作成者の氏名又は名称
ロ 課税資産の譲渡等を行つた年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行つた課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)
ハ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
ニ 課税資産の譲渡等の対価の額(当該課税資産の譲渡等に係る消費税額及び地方消費税額に相当する額がある場合には、当該相当する額を含む。)
ホ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

二  事業者がその行つた課税仕入れにつき作成する仕入明細書、仕入計算書その他これらに類する書類で次に掲げる事項が記載されているもの(当該書類に記載されている事項につき、当該課税仕入れの相手方の確認を受けたものに限る。)
イ 書類の作成者の氏名又は名称
ロ 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
ハ 課税仕入れを行つた年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行つた課税仕入れにつきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)
ニ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
ホ 第一項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額
三  課税貨物を保税地域から引き取る事業者が保税地域の所在地を所轄する税関長から交付を受ける当該課税貨物の輸入の許可(関税法第六十七条 (輸出又は輸入の許可)に規定する輸入の許可をいう。)があつたことを証する書類その他の政令で定める書類で次に掲げる事項が記載されているもの
イ 保税地域の所在地を所轄する税関長
ロ 課税貨物を保税地域から引き取ることができることとなつた年月日(課税貨物につき特例申告書を提出した場合には、保税地域から引き取ることができることとなつた年月日及び特例申告書を提出した日又は特例申告に関する決定の通知を受けた日)
ハ 課税貨物の内容
ニ 課税貨物に係る消費税の課税標準である金額並びに引取りに係る消費税額及び地方消費税額
ホ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

消費税法上は、「領収書」の文言がありません。

レシートやカード利用控えには、「ホ」が書いていません。

それでは、レシートやカードは、経費であることを認めさせることはできないのでしょうか。

レシート

その点、消費税法施行令は、下記のように述べています。

施行令49条
4  法第三十条第九項第一号 に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業とする。

一  小売業、飲食店業、写真業及び旅行業

二  道路運送法 (昭和二十六年法律第百八十三号)第三条第一号 ハ(種類)に規定する一般乗用旅客自動車運送事業(当該一般乗用旅客自動車運送事業として行う旅客の運送の引受けが営業所のみにおいて行われるものとして同法第九条の三第一項 (一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金)の国土交通大臣の認可を受けた運賃及び料金が適用されるものを除く。)

三  駐車場業(不特定かつ多数の者に自動車その他の車両の駐車のための場所を提供するものに限る。)

四  前三号に掲げる事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行うもの

日付
店の名前
金額
品名又は、サービスの内容
誰と食事をしたか

この4点が立証できれば、レシートでも差し支えありません。

品名については、むしろ、手書きの領収書よりも、レシートの方が具体的に書かれています。

10万円未満の商品、青色申告の場合は、30万円未満の商品は、一括で損金にすることができます。合計10万円した一組の商品を構成する部品を、複数の年にまたがって買って各々別個の年に試運転を開始させたと評価されれば、2枚に分けて7万、3万と計上することはできますが、
恰も、別の商品を買ったかのように7万、3万と計上することは、実体と異なるので認められていません。

取引先と商談をしながら食事をして15,000円を社員が払ったとします。社内規定では、10,000円まで会議費として認められる場合、10,000円分だけ会社の経理を通じて返還を受けて10,000円を会議費とする処理はできますが、自由意思の介在する余地なく、労働の延長としてやむを得ず支出したのですから、会社資本は、その社員に15,000円を返さなければいけません。

一人当たりの飲食代5,000円以下であるかどうかは、一次会と二次会が別の店で連続して行われた場合には、店毎にいくらか支払ったかを評価し、それぞれ、一人当たり5,000円以下であれば、一次会、二次会とも会議費として認められますが、同一の店の飲食代を分割して2枚の領収書をもらって一人当たり5,000円以下であるとして会議費とすることは認められていません。

割り勘で食事代を支払った場合、全員分の合計額の記載されたレシートをもらって、全額経費とすることはできませんが、自分の支払った分は、必要経費にできます。

割り勘で食事をして自分が負担した分の領収書がもらえなかった場合には、下記のことを書いた記録をエクセルにでも記載して、調査の連絡が来たら、調査場所に並べておけば差し支えありません。こんなもん、税務署員は見ないでしょうが。

一人で食事をした場合でも、仕事をしながら飲食した場合には必要経費として認められます。

税理士の中には、フリーランスに福利厚生費はありえないとおっしゃる方もいらっしゃいますが、アスリートやシンガーの場合のプロテイン代は、労働力の再生産をさせていますので、福利厚生費として必要経費として認められます。

複数の商品を購入し、店で一括で精算し、一つは労働に使用し、もう一つは家事で使用した場合には、付箋を貼って労働に使った分を注記しておけば差し支えないと思います。レシートに二重線を引いて家事使用を訂正するとレシートの改ざんに該当すると解される余地もないとはいえませんのでやめた方がいいと思います。

日付
店の名前
金額
誰と食事をしたか

領収書がない理由

請求明細等

納品書は、領収書に代わるものとはなりませんが、評価(金額)が入っていて、領収書を兼ねているものであれば、支払を証明することができます。

アプリを購入した場合には、オンラインの請求明細を調査の前までに出力しておけば差し支えありませんので、経費として計上することをわすれてはいけません。

アマゾン、Yahoo、楽天などのネット通販で買ったもので領収書が添付されてないものもありますが、金額、店名、日付、品名の入った発送通知を削除せずに、調査の前までに出力しておけば差し支えありません。

クレジットカードを使用した支払の場合は、必要経費として認められるでしょうか。

クレジットカードには、請求明細が送付されてきますが、これは、領収書に代わるものとして必要経費の要件に該当するでしょうか。

これについては、下記のような照会事例があります(国税庁HP)。

【照会要旨】

法人カードを利用している場合には、カード会社から一定期間ごとに請求明細書が交付されますが、この請求明細書は消費税法第30条第9項《仕入税額控除に係る請求書等の記載事項》に規定する請求書等に該当するのでしょうか。

【回答要旨】

クレジットカード会社がそのカードの利用者に交付する請求明細書等は、そのカード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が作成・交付した書類ではありませんから、消費税法第30条第9項に規定する請求書等には該当しません。
しかし、クレジットカードサービスを利用した時には、利用者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が、「ご利用明細」等を発行しているのが通常です。
この「ご利用明細」等には、1その書類の作成者の氏名又は名称、2課税資産の譲渡等を行った年月日、3課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容、4課税資産の譲渡等の対価の額、5その書類の交付を受ける者の氏名又は名称が記載されていることが一般的であり、そのような書類であれば消費税法第30条第9項に規定する請求書等に該当することになります。

【関係法令通達】

消費税法第30条第7項、第9項

注記
平成28年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。ここに引用文が入ります。

領収書は、支払を受けたものが発行するものですから、例えば、カードを使ってレストランで食事をした場合には、レストラン側が発行した領収書又はそれに代わるものがなければなりません。それに代わるものとしては、カード利用控えなどがあります。

Suicaのチャージ代、航空券は、別途請求手続きをしなければ利用履歴、明細、領収書はもらえませんが、あれば必要経費の要件となることを証明する資料としてレベルが高いと評価されるでしょう。

利用履歴等の内、既に役務提供を受けて、労働に使用したものであれば、必要経費になり、期末又は年末と評価される段階において未だ役務提供の受けていないものは、前払金又は前払費用となります。

未使用のSuica代、航空券の評価は、現金と同じく架空ではあるけれども、経済関係上、実体関係上は、商品として扱われますから、在庫計上を省略できませんが、そこまで指摘した税務調査官はこれまで私の知るかぎりではいません。

社長を含む社員が立替えて支払ったもので、宛名が社員名であっても、当該企業の労働で使用したものであれば必要経費として認められます。
社員の立替分については、すぐに精算しないと、経費の計上漏れが累積してしまいます。

仮払金を社員に支給して経費の支払をさせる場合に、すぐに精算しないと、仮払金勘定が膨らみ、社長を含む社員に処分権はありませんから、給与所得にはなりませんが(なると言ってきたら文句を言って下さい)、また、金が利潤を産み出すのではありませんが、未収利息の「評価」がされることがあります。

労働者が、給与で買ったポイントカードを使用させて、海外出張に行き、会社規程の出張旅費相当分の返還を受けたとします。

法人資本は、未払いの労働の評価の返還について国際金融資本からの借入れをフィクションされているから、法人資本、法人の労働者の代表者に利潤を処分する権限はない。

当該労働者については、契約外の労働をさせたこと、又は労働を強化したことについての対価を、ポイントという手段で支給したのでそれを評価する義務がある。ポイント分は、使用人賞与という見方が成立する余地がある。

当該労働者は、後日、ポイントを使用して、サービスをしてくれた労働者の労働の評価をゼロにして、国際金融資本への利潤への分配の後、利潤の分配を受けるので、役務の提供が完了した段階で一時所得を得るという見方が成立する。

格安チケット、格安のルートで行った場合に、法人の経理担当の使用人をして提示した費用を請求をした場合には、旅客業の労働者の労働の対価として確定し、返還不要としたものであるという建前で、差額は給与所得とはならなりません。

案内状等

取引先、社員の本人又は家族の冠婚葬祭などの費用も領収書がありませんが、案内状を保管し、付箋に金額を書いて貼り、その者が実際に亡くなったり、結婚したことを立証できるようにしておけば差し支えありせん。

自動販売機に金を入れてボタンを押して稼動させて飲み物を買った場合には、領収書やレシートを発行させることができません。

日付、品名、誰に支給したか、金額についてメモしておけば差し支えありません。

領収書があれば必ずしも経費として認められるわけではない。

領収書がある支払でも、実在しない店や事業者に支払った管理料、コンサルタント料、支払手数料、顧問料、外注費といった、実体のないものは、経費として認められません。

家事労働にのみ使用して、事業における労働に使っていないものは経費として認められません。

経費でないこと、納税側に不利益になることを立証する義務は課税側にあります。

課税側は、信憑性という実体のない観念に基づいて経費を否定することはできません。

課税側は、全ての面から調査をして事実関係が存在しないということを立証しなければなりません。