[序論]

国際金融資本は、産業資本が、労働力を始めとする生産手段の購入と借入れのフィクションによる利潤のコントロールを受け分配を受けることから、産業資本の内でも、国際金融資本は、国債をフィクションしても紙切れを無制限にフィクションし労働力への貸付をフィクションすることができることから、企業の財表が欠損になっても、プチブルを含む労働力が欠損になっても破産することはないが、労働を疎外しているとはいえ生産手段を購入し損失負担のある産業資本を手放し、組織再編を手段に、ホールディングスの資本になってからも、その資本を他の経済実体に購入させ、その労働力に貸付けをフィクションし、財表上の利潤に関係なく損失負担を免れ、利潤の過程と処分のコントロールし、労働力への貸付をフィクションすることとなった。

平成14年税制改定により、退職給与引当金が税務上廃止されることとなったが、会計上、退職給与引当金を計上することまでは、法律上妨げられていない。

事業を譲渡した場合又は会社分割の場合においては、退職給与引当金勘定を引き継ぐ場合には、法人税法上益金として取り扱われるのか負債として扱われるのかが明らかではなかった。

その後、平成18年の税制改定により、退職給与引当金勘定を引き継ぐ場合には、当該金額は、退職給与負債調整勘定とすることが明記された。

以下、法人税法上、非適格分割に該当するとされた場合の退職給付債務の引き継ぎの経理処理を示した上で、私見を述べることとする。

[設例]

P社は、下記資産、負債をS社に移転した。

資産 1,500百万(簿価=時価)

退職給与引当金 1,000百万

S社は、P社に会社分割の対価としてS社株式(時価500)のみを交付。

P社

(決算仕訳)

(借)退職給与引当金 1,000  (貸)資産  1,500

S社株式       500

税務上の処理は、下記税務仕訳を入れて(決算書上に入れるのではなく申告書上で記入)

[税務仕訳]

(借)譲渡損  1,000      (貸)退職給与  1,000

[税務上の処理]

(借)S社株式  500   (貸)資産  1,500

譲渡損    1,000

[別表四]

非適格合併による移転資産等の譲渡損失  減算留保 1,000

[別表五(一)]

退職給与引当金 1,000   当期の増減の「減」②

S社

[決算仕訳]

(借)資産  1,500    (貸)退職給与引当金  1,000

その他資本剰余金 500

[税務仕訳]

(借)退職給与引当金 1,000

 

(貸)退職給与負債調整勘定 1,000

[税務上の処理]

(借)総資産 1,500

(貸)退職給与負債調整勘定  1,000

資本金等            500

期首現在利益積立金額 当期の増減 翌期首現在利益積立金額
区分   ①-②+③
   ①   ②   ③   ④
退職給与引当金 1 1,000 1000
退職給与負債調整勘定 2 1,000 △ 1,000

[別表五(一)]

その他資本剰余金 500は、

Ⅱ 資本金等の額の計算に関する明細書の「当期の増減」の「増」に記入。

S社は、退職給与引当金を取り崩して退職金200百万円支給した。

[決算仕訳]

(借)退職金  200   (貸)現預金 200

(借)退職給与引当金 200

 

(貸)退職給与引当金取崩益  200

[税務仕訳]

(借)退職給与引当金取崩益  200

(貸)退職給与引当金  200

(借)退職給与負債調整勘定 200

(貸)退職給与負債調整勘定取崩益 200

[税務上の処理]

(借)退職金  200       (貸)現預金  200

(借)退職給与負債調整勘定  200

(貸)退職給与負債調整勘定  200

[申告調整]

(別表五(一))

退職給与引当金  200 「当期の増減」の「減」

退職給与負債調整勘定 200 「当期の増減」の「増」

期首現在 当 期 の 増 減 差引翌期首現在
  区分 利益積立金額 利益積立金額
退職給与引当金 1 1,000 200
退職給与負債調整勘定 2            △1,000 200

[私見]

分割法人は、退職給与債務を引渡し、その代物弁済を、分割法人が、労働力がした労働の評価の返済を待たせ、労働力への貸付けをフィクションし、労働を疎外して疎外された労働の評価を転嫁したところの資産を引き渡すことによって得た架空の商品に価値属性を付与することにより行っている。

分割法人の代理人労働者は、分割承継法人の疎外された労働の評価が転嫁された架空資本の交付を受け、分割承継法人の労働力の労働の疎外、利潤への転嫁の過程及び利潤の処分をコントロールを国際金融資本から委託されている。

疎外された労働の評価は、支払われず、譲渡損に振り替えられ、又退職金として費用計上して損金に算入しても、未払いにされ、労働力商品と引き換えに支給された架空の引換券という商品に価値が付されるだけで、分割承継法人に労働力として購入され、労働の評価の返済を待たされ、貸付をフィクションされ、労働力の再生産を余儀なくされている。

分割法人において、疎外された労働の評価を労働力商品を架空の商品と交渉することによる価値属性を付与して算出した価額を除した退職金は、支払われることなく、奴隷から解放されることなく労働をさせられ、分割承継法人を退職するまで支払われない。

国際金融資本は、2度退職金相当の損金算入をして、国際金融資本がフィクションした国債元利の返済負担を免れているのである。

国際金融資本は、フィクションした資本関係を源泉に、その召使となって、自身は労働することなく、労働力のした労働の疎外を土台にした利潤をコントロールして資本の再生産を行っているのも関わらず、法律行為を手段に別個の経済実体として実体化させているにもかかわらず、労働の評価を確定せずに損金算入し、労働の評価の支払を回避し繰延べている。

分割承継法人が支給した退職金の内の、分割法人における労働に基づく部分の金額につき、分割法人がその退職給与債務の負担を免れ、分割承継法人が立て替えた分の弁済をしていない場合には、分割承継法人の側には、寄附金が建って、分割法人の側には、負債調整勘定相当分は、経済上は、分割法人の労働者に貸付けをフィクションしてきた国際金融資本の益金であり、労働の疎外を土台とした利潤から国債元利の弁済をすることは、労働力に弁済を転嫁することであるから、労働の評価の支払と国債の返済は、国際金融資本の義務である。

分割承継法人においても、国際金融資本は、労働の評価を支払うことなく、労働力に貸付金をフィクションし、労働を疎外し、利潤を得ており、商品の支給を伴わない退職給与引当金を引き継いで利潤を享受しているのであるから、経済上は、負債調整勘定は、益金であり、国債の返済をする義務があると言えるであろう。

退職の支給を受けた労働力は、労働の評価すなわち前貸しした分が返ってきたのであって、借金はしていないのであるから、経済上、国債の返済を負担する義務はないのである。労働力は、返済を待たされ、労働力を再生産を余儀なくされ、現実に利潤を疎外されてきたのであるから、国際金融資本は労働の評価に加え利潤を元本、利子という属性を付与して分配しなければならないのである。フィクションされた資本関係、経済関係、生産関係によって疎外された労働の評価が削減されるから労働の評価は、利潤の額を超えており、利潤の分配ではないのである。

[関係条文]

法人税法第62条の8

2 内国法人が非適格合併等に係る被合併法人等から資産又は負債の移転を受けた場合において次の各号に掲げる場合に該当するときは、当該各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金額を負債調整勘定の金額とする。

一  当該内国法人が当該非適格合併等に伴い、当該被合併法人等から引継ぎを受けた従業者につき、退職給与債務引受け(非適格合併等後の退職その他の事由により当該非適格合併等に伴い引継ぎを受けた従業者に支給する退職給与の額につき、非適格合併前における在職期間その他の勤務実績等を勘案して算定する旨を約し、且つこれに伴う負担の引受をすることをいう。以下、この条において同じ。)をした場合

当該退職給与債務引受けに係る金額として政令で定める金額

6 第二項に規定する負債調整勘定の金額を有する内国法人は、次の各号に掲げる場合には、当該負債調整勘定の金額につき、その該当することとなった日の属する事業年度(その該当することとなった日が自己を被合併法人とする合併の日である場合には、当該合併の日の前日の属する事業年度)において、当該各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に規定する金額を減額しなければならない。

一  退職給与引受従業者(退職給与債務引受けの対象とされた第二項第一号に規定する従業者をいう。以下この号及び第九項において同じ。)が退職その他の事由により当該内国法人の従業者でなくなった場合(当該退職給与引受業者が、第九項第一号又は第二号イに規定する場合に該当する場合を除く。)又は退職給与引受業者に対して退職給与を支給する場合

退職給与債務引受額に係る負債調整勘定の金額(第九項及び第十項において「退職給与負債調整勘定の金額」という。)のうち、これらの退職給与引受従業者に係る部分の金額として政令で定める金額

8  前第二項の規定により減額すべきこととなった負債調整勘定の金額に相当する金額は、その減額すべきこととなった日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。

法人税施行令123条の十

7 法第六十二条の八第二項第一号に規定する政令で定める金額は、同号の内国法人の非適格合併の時における同号に規定する従業者に係る退職給付引当金の額(一般に公正妥当とされる会計処理の基準に従って算定され、かつ、その額につき、第九項に規定する明細書に記載がある場合の当該退職給与引当金の額に限る。第十二項において「退職給付引当金額」という。)に相当する金額とする。

9  法第六十二条の八第一項に規定する資産調整勘定の金額又は同条第二項若しくは第三項に規定する負債調整勘定の金額を有する内国法人は、その有することとなった事業年度(同条第九項に規定する適格合併等によりこれらの金額の引継ぎを受けた事業年度を含む。)及び同条第四項、第六項又は第七項の規定によりこれらの金額を減額する事業年度の確定申告書に、その有することとなった金額(その引継ぎを受けた金額を含む。)の計算又は同条第五項若しくは第八項の規定により損金の額若しくは益金の額に算入される金額の計算に関する明細書を添付しなければならない。

10 法第六十二条の八第六項第一号に規定する政令で定める金額は、減額対象従業者(同号に規定する退職給与引受従業者(以下この条において「退職給与引受従業者」という。)のうち、同項に規定する事業年度において、同項の内国法人の従業者でなくなったもの(同項に規定する事業年度終了の日の翌日に行われた同項の内国法人を非合併法人とする合併に伴い当該内国法人の従業者でなくなったものを含む。)又は当該退職給与の支給を受けたものをいう。)に係る同項に規定する退職給与負債調整勘定の金額のうち、当該減額対象従業者に係る退職給与負債相当額(当該退職給与負債調整勘定の金額に係る当初計上額(非適格合併の時に法第六十二条の八第二項の規定により減額した金額を除く。)を当該退職給与引受従業者(既に同項の内国法人の従業者でなくなったもの及び退職給与の支給を受けたものを除く。)の数で除して計算した金額をいう。)の合計額とする。

12 法第六十二条の八第六項又は第九項の内国法人が退職給与引受従業者ごとの退職給付引当金額の計算に関する明細を記載した書類を添付している場合には、前二項に規定する退職給与負債相当額は、これらの規定にかかわらず、当該退職給与引受従業者毎の退職給付金額に相当する金額とすることができる。

但し、同条第六項第一号に掲げる場合に該当することとなった日の属する事業年度(以下この項において「退職事業年度」という。)前の同号に掲げる場合に該当することとなった日の属する事業年度若しくは当該退職事業年度終了の日前の同条第九項第二号に掲げる適格分割等(以下この項において「適格分割等」という。)又は同条第九項第一号に掲げる適格合併若しくは適格分割等(以下この項において「適格合併等」という。)の日前に終了した同条第六項第一号に掲げる場合に該当することとなった日の属する事業年度若しくは当該適格分割等につき、本条の規定を適用しなかった場合は、この限りではない。