流動比率は、下記算式で計算される。
<div style=”border: 1px solid #cdcdcd; padding: 15px;”>流 動 比 率 = 流 動 資 産 / 流 動 負 債</div>
1年以内に支払わなければならない負債は、経済上、労働を疎外して1年以内に現金商品と引き換えることができる流動資産で賄わなければならないという考えに基づく比率であり、経済関係の更新する過程に短いスパンを与えて支払に回せることができたかを示す比率を流動比率と呼んでいる。
国際金融資本が、資本関係をフィクションした労働力を使用して、産業資本の労働力に貸し出しをフィクションするときに重視する比率(20項目以上ある)と言われる。
流動資産の中には、不良売掛金であるとか、在庫商品に、販売されずに、滞留が長期であると評価されたり、陳腐化したとか評価されるものがあるから、1年以内に現金化するのが仮に流動資産の半分であったとしても流動資産の2倍あればよいことになり、流動比率が200%以上が望ましいと当初は説明されていた(250%とする見解もある)。
一般には120%程度あれば差し支えないと言われていたが、絶対的な基準はない。
スーパー等現金商売の企業は、売掛債権が少なく流動比率は、低いと言われる。
流動資産が少ない企業は、それだけ流動資産の回転率が高いとされ、売掛債権、買掛債務の回転率を勘案して下記の算式で流動比率を計算することが提案されている。
<div style=”border:1px solid #fd5dac; padding: 15px;”>(流動資産×売掛債権回転率)/ (流動負債×買掛債務回転率)</div>
流動比率ついては、下記のことが指摘される。
(a)預金の中には、借入のフィクションの段階で、差し入れをさせられ、担保の属性が付与されているものがある。
(b)粉飾する際の架空売上の相手勘定として売掛金勘定が用いられることがある。
(c)粉飾をした際には、棚卸資産が水増しされてそのままになっていることがある。
(d)有価証券の中には、持ち合いにして買収を防いでいたり、長期有価証券に計上していても売却までに短い期間が付されたものがある。
資産構成比における棚卸資産の比率を見たところで、
(c)の棚卸資産については、また、棚卸資産を多く抱える企業は、それより棚卸資産を持たない企業よりも流動性(支払能力の状況)ランキングは高くなり、棚卸資産の評価方法が異なった企業同士を比較する場合には、流動比率を見て教科書どおりの解釈をすることは適切でないことが指摘される(Foster, George Financial Statement Analysis p 62)。
利潤の土台となる疎外された労働の評価が異なるのであるから、同一の俎上に上げてもそれによって得られた結論に価値を付すことは困難であろう。
(d)については、持ち合いにして買収を防げているかに見えても、現実には既に国際金融資本との間に資本関係がフィクションされている。
不動産業においては、フィクションされた資本関係上、経済関係上、販売に出すことが余儀なくされている土地が流動資産に計上されているが、必ずしも販売までに要した過程が長いと評価されたり、開発に要した過程が長いと評価されることがある。
売上債権の評価のダウンが現預金の評価のダウンよりも少なければ、労働の評価が下がり労働の疎外を経た労働力商品に支給される商品の評価がより下がるということである。
企業の労働力は、棚卸資産の販売の業績が振るわず、資金に余裕がなくなり、現金預金の評価が少なくなり、流動資産が減少し、手形の割引、裏書、有価証券の売却、売掛金の回収を早めること、仕入を抑えることによる在庫の圧縮を行って資金を捻出してきた。
アナリストが考える棚卸回転率の違いの理由は、より効果的な棚卸資産政策、仕掛品を減らすことが要求されるサイクルの短い業種があること、棚卸資産の手持のパターンの相違、異なった会計上の評価方法であるとされる(Foster George)。
しかし、顧客の側からすれば、在庫切れがないことも評価指標であること、棚卸資産回転率をチェックしながら、適切な在庫量を決定し、過剰な在庫を避けるべきであるとする見解もある(Balanced Score Card)。
仕掛品を減らし、現金商品と引き換えることに短い時間という評価を付すことが余儀なくされていることは、疎外労働が強化され、納期が短縮され、需要がフィクションされていることである。会計上の評価方法の違いは、疎外された労働の評価の違いである。
労働の疎外により含み益をフィクションできない株式、土地は、不要な資産と評価される。株式の持ち合いは、労働力に貸付をフィクションにすることによって労働を疎外していない場合には、損失と評価される。
流動比率の高さは、流動負債に対する担保力が高いと評価されるが、労働の疎外による利潤をそれほど産み出さない資産への投融資であると評価される。
資産によってそれに要する投融資の金額が異なるとされ、ムーディーズは、かつて、現金や短期有価証券には、0%、売上債権は、15%、その他流動資産は40%、有形固定資産は、60%、投資は100%のウエイト付けをしていた(流動的に処分される資産には、資本の裏付けが少なくてよいと考えられ、有形固定資産には、有形固定資産の60%に当たる資本の評価が必要であるということである。)。
流動比率と関連して併せて用いられる比率には下記比率がある。
<div style=”border: 1px dashed #c08352; padding: 15px;”>支 払 勘 定 回 転 率=売 上 / 支 払 勘 定</div>
<div style=”background:#ff85a5; border:1px solid #ff85a5; padding-left:10px;”><font style=”color:#ffffff; font-weight:bold;”>関係諸比率</font></div><div style=”border:1px solid #ff85a5; padding:10px; font-size:1em;”>運転資本回転率=売上 / 平均運転資本
運転資本回転日数=営業活動からの運転資本 / 売上
上の算式は、(Gerald White p152, 下の算式は、George Foster下記文献)</div>
流動比率を見る際に、流動負債のどのような科目の評価の割合が高いのかを調べた結果、支払手形が多ければ、現金の流出が迫りつつあることを示すと言われる。
支払手形にサイトの長期化という評価がされたり、買掛金の支払が現金払いから支払手形払いにシフトしたり、短期借入の増加がフィクションされることにより流動負債が増加する。
流動比率の低い企業の場合、長期借入金の代わりに金利の低い短期借入金のフィクションで資金を調達し、短期借入金を毎回借り換えるのと同じ経済状態をフィクションし、資金コストの低減を行っている場合がある
その企業を支援するか否かの決定は、負債額を改善する意思があるか否かによって影響されるという見解がある(Anne, Beaty, Philip G. Berger, and Joseph, Magliolo, Journal of Accounting & Economics 19)。
産業法人の流動比率がいくら低くても、国際金融資本は、紙切れとその評価を無制限に行うことを中央銀行の当座預金の法定準備率により実体化されているので、破産することは100%ない。
国際金融資本は、会社に資産がゼロでない限り、国際金融資本を使用して労働力との間にフィクションさせた資本関係を源泉に、労働を疎外することを土台に、企業を存続させることを余儀なくされるのである。よって、労働者たる法人の役員に負債を減らすか否かの意思はないのである。
貸倒引当金の操作によって、会社は、利益の最大限のときに、利益の発生額を減らすことを選択して利益を管理し、実現が期待できない製品保証引当金や退職給与引当金の見越項目も、利益の管理を分析する上で有用であるとする見解がある(Maureen Mcnichols and G. Peter, Wilson, Journal of Accountacy ,Supplement,1988)。
労働の疎外を土台とした利潤を、国際金融資本に前貸しし、資本関係をフィクションし、労働力商品に支払われた商品に価値を付さずに、労働の評価を未払いにすることで、現金をプールし、国際金融資本に前貸しし、労働力に貸付けをフィクションして、国債の返済を負担させている。
引当金は、労働の疎外、未払賃金の方便である。