キャバクラでバイトをしていたことがある学生が日テレから通知された内定が取消され、その後、民事訴訟による和解を通じて入社が確定した事例があった。

労働者は、内定後、生産関係上就職活動が制限され、生産関係上の拘束を受ける。男と女は資本が資本関係に基づいて規定したもので、男にも女にも清廉なる価値属性は備わっていない。清廉さは実体のない観念である。

キャバ嬢は、酒を注いで会話を提供して金を得て価値属性を付与されているにであって、性労働ではなくキャバ嬢を買春することは難しい。有償の性労働は労働力の再生産をもたらさないから、国際金融資本は性産業を取締り、キリスト教を使用して堕落という後付の方便を付与したのである。全ての職業には清廉か否か、堕落の価値属性は備わっていない。清廉の価値属性を付与されていても、配偶者と別の男との間に子供を作り、配偶者の子であるといって育てさせたり、隠れて堕胎したりする者もいる。

現実には、イメージや観念やイデオロギーという上層建築に基づいて資本が貸し出され、疎外労働、資本増殖、経済関係、実体関係を形成することはできない。

最高裁は、「採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用を内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められる社会通念上相当として是認することができるものに限られると解するのが相当であるとするが(最判昭和54年7月20日)、社会通念、客観、知っていたか否か、知ることができるか否か、印象、理論、趣旨、目的といった実体のない観念に基づいて内定を取り消すことができないと解さなければならないであろう。

イデオロギーに基づいて内定取消ができないものと解さなければならないであろう。履歴書に記載した資格を取得していなくて労働が提供できないということでもないし、肉体が損傷して労働ができないということではないし、後者のケースでは肉体が強くなくてもできる労働を提供してもらうことや、社内の福祉に投資することで内定取消しを避けることができる。キャバで働いていたことがあるからといって、入社後、その法人において労働が提供することができないわけではないのである。