厚生省は、ハローワークが長時間労働、残業代不払いの企業の求人申請を受理しない制度を創設する方針を発表した。搾取企業の親法人はホールディングスであり、そこに投融資しているのは国際金融資本である。

国際金融資本は、産業法人に、産業法人の経済上の根拠なしに、当該産業法人の現実の資本、フィクションたる財務諸表上の数値に関係なく、絶えず投融資を行い、納期を短縮し、大量生産を行わせ、実体のない需要を創造し、資本を増殖し、民間銀行の投融資を通じた中央銀行との資本関係を強化してきた。

労働者の労働を疎外して、労働力商品にしてそこに低い価値属性を付与することを資本関係上余儀なくされてきた法人資本は、国際金融資本にとって投融資によるリターンを取りやすい法人である。国際金融資本は、民間銀行を通じて中央銀行の架空資本が付与されているから、架空資本の発行数と価値属性を付与でき、貸付元利が回収できなくても資金に困ることはない。

リスクは実体のない観念である。銀行資本は、後付の方便たる、実体のない観念たる信用に基づいて貸出を行っているのではない。

ハローワークで求人申込の受理を拒否された企業は、国際金融資本にとっては、投融資によるリターンを取ることのできる企業である。

国際金融資本が投融資をしている銀行の審査が通らず、融資が受けられないということはないであろう。既に、労働を疎外して資本増殖している法人は、ハローワークに求人の申込を行っていない。労働力商品の売買の媒介が国際金融資本に投融資されている民間たる国家から民間の私企業にシフトするだけの話である。

搾取企業が現実の労働について記載した求人申込を行うことは資本関係上不可能であるから、経済、生活上行き詰まったり、また、労働力の再生産を余儀なくされている労働待機者、就職活動者は搾取企業への応募を余儀なくされ、搾取されたことがないことから疑問を持たない、いわゆる育ちが良いと評価されている者は、搾取企業に民間の紙媒体やネットを通じて応募してくるであろう。

ハローワークが搾取企業の求人申込の受理を拒否する制度を創設したところで、生産関係、労使関係、疎外労働の現実は何も変わらないであろう。