帳簿は、法人を含む経済実体が、取引及び経済上、事業上の資本の変動を記録した書面であり、簿記は帳簿記入の略語であり、帳簿をつけることを記帳という。生産又は採掘した資本である商品と金が交換され、複数の金と一枚の紙が交換され、金が倉庫に預けられ、紙も預けられた。
キャボットやその使用人シェルバーンといった貴族もスイスの倉庫に金、紙を預けた。紙を消費すると架空商品たる有価証券が発行された。契約や法を創設し実体のない権利を取得する。金や紙には価値属性は備わっていない。
金も紙幣も商品である。汗水たらして生産した商品や労働と労働をしていない金融資本が発行させた金、更には紙切れと交換されているのである。金も紙幣すなわち貨幣は尺度ではない。貨幣すなわわ金や紙切れは現物であるが、円やドルといった尺度は、貨幣とは別の次元のもの、すなわち、中央銀行の所有関係を土台とした実体関係に基づいた観念である。
貨幣を尺度と理解している、又は貨幣は尺度ではないと知りつつ、資本関係に忠実に、人民を騙してきたブルジョア経済学者によって、産業資本、労働者に疎外労働をさせることに成功してきた。紙切れを発行した倉庫業者が名目上の預金の中から無償で王侯貴族に貸付け、紙切れは資本であることと設立した倉庫である銀行、紙幣の発行を社会に認めさせることに成功し、資本関係を土台に、王侯資本を所有し王侯貴族に、更には労働者に貸し付けて生産、戦争に当たらせた。金融資本は更に王侯貴族に貸し付けて王侯貴族が所有していた資本を使用して前倒しで返済させ、担保という方便を与えた。
取り上げられた資本は、王侯貴族が購入させられたり、産業資本、労働者に貸し付けられた。紙切れは価値属性が備わっておらず、実体がないから、実地棚卸は存在せず、金融資本は中央銀行の所有関係及び創業経済実体との資本関係から紙切れに価値属性を付与することができる。
金融資本は、創業経済実体との資本関係から、投融資をした資本を産業資本及びその労働者の経済関係に基づいて、また、生活過程において使用させることなく、投融資した資本から配当原資、利息の徴収を忘れることなく、所有法人を上回る名目上の資本を名目上の流通量、名目上の留保残高を記載して中央銀行の所有関係を維持しなければならない。ヨーロッパの金融資本が王侯貴族に貸出した紙切れの枚数を記載して書面に記録したのが簿記の成立である。
簿記は商品と金の交換、金と紙の交換、架空資本と紙の交換、紙と権利の交換、すなわち資本の投下、交換を記録することからスタートした。
紙切れの投融資を受けた王侯貴族は書面に借入した紙幣、投融資を受けた紙切れを記帳することを余儀なくされた。
記帳された資本の交換には、国際金融資本によって付与された価値属性が記載された。資本の交換過程に時間という価値属性が付与され、資本関係に基づいて、投資を受けたことについては配当を支払うこと、借入については利息を支払うことが余儀なくされ、投融資を受けた資本は資本を留保して増殖することを余儀なくされた。
投融資を受けた資本は、生産手段の購入、労働者への貸付け、労働の疎外、疎外された労働の資本への転嫁、租税債務を含む借入債務、仕入債務、損失負担への転嫁、左記債務負担の労働者への転嫁という過程を記録することを余儀なくされた。