2014年5月9日IBMの税務訴訟の一審判決が出され、1197億円の課税処分が取り消されたとのことである。

[事実関係]

持株法人アイビーエムエーピーホールディングス(以下AP)の会計仕訳(単位:億)は下記のようになる。

米IBMの子法人である持株法人APは、米IBMからその孫法人である日本IBMの株式を購入した。

(借)有価証券 20,000 (貸)現預金 20,000

現預金 20,000     借入金 20,000&

持株法人APは、日本IBM法人の株式20,000の内、複数回にわたり合計5,000を日本IBMに引渡した。株式引渡しにより得た現金を5,000と評価した。

(借)現預金 5,000 有価証券 5,000

日本IBMは、自社株5,000を取得した。日本IBMの資本の部は、法律上配当できない部分の金額が1,000ある。日本IBMの会計仕訳は下記のようになる。

資本金 1,000        現預金5,000

利益積立金 4,000

日本IBMは、支払った現金の評価額5,000の内、配当の原資である4,000から、株主APに現金を引き渡したから、4,000は、配当を支払ったのであって、持株法人APが日本IBMから受け入れた現預金5,000&

の源泉は、日本IBMの引渡しによるものが1,000であり、株式配当が4,000であり、日本IBM株5,000を引き渡して得た現金の評価は1,000であるから、当該取引段階の税法においては、譲渡損4,000が実現することになる。この過程を仕訳で表すと下記のようになる。下記仕訳は会計帳簿上では行われず、AP社の法人税の確定申告書において、所得金額から受取配当金の益金不算入4,000、有価証券譲渡損4,000が控除される。

(借)現預金 1,000 (貸)受取配当金 4,000

譲渡損 4,000    有価証券1,000

IBMグループは、連結納税を用いて、所得のある日本IBMとAPを合算して申告納税を行い、税負担を免れたのである。

[解説]

現行法人税法において受取配当金が益金不算入とされていることについては、国際金融資本は、ブルジョア税法学者を用いて、配当支払側が法人税を支払った後の利益から支払われるから、配当を受け取った側の法人に法人税を課税すると二重課税となるとの方便を用意する。

配当を受け取った法人は源泉所得税の税額控除も受けている。

国際金融資本は、所有法人の使用人を使用して、個人株主に所得税を課せば足りるという。

親法人の資本の源泉を遡ると、複数の経済実体を合算したものでない、単体の経済実体にたどり着く。IBMグループの株が交付されたのは、株式をフィクションさせたロックフェラーである。所得税には、配当控除の制度があり、国外株主は、オフショアに住所を登録することにより、又はオフショアの法人、組合を経由することにより、いずれの社会の所得税の負担をも免れている。

国際金融資本は、所得税法上の法人すなわち経済実体は、「個人」と呼ばれ、個人株主と法人を同一のものとみなして法人税を支払い済の法人が支払った配当に所得税が課されると、同一の経済実体に法人税と所得税の二つが課されるから二重課税となるとの方便を用意する。

日本IBMが自己株式を取得したこと、資本を払い戻したことで、持株法人APに100%所有される関係は継続し、持株法人APは、ロックフェラー所有法人を通じてロックフェラーから日本IBMとの株2兆円と同額の借入をしたから、現実には、APも日本IBMもロックフェラーにその架空資本が交付された法人のままである。</p>

法人は、国際金融資本との資本関係から、登記、契約という法律行為を通じて実体あるものと社会に認めさせることを余儀なくされ、法人とその資本は別個の経済実体であって、構成員と同一であると擬制されたものではない。

法人の構成員は、資本を引渡し、架空資本たる有価証券を得る。金の預り証たる紙幣と労働の提供に先立って貸し出された紙幣を引き渡さなければ架空資本は購入できない。法人の構成員と法人の間には資本関係がある。

中央銀行を所有する金融機関を所有する国際資本と法人の資本の間には資本関係が存する。国際金融資本は、投資の場合、資本全部を持分に応じて取得し、融資の場合、各資本、労働者の預金を取得し、金、紙幣以外の資本は担保名目で取り上げる。

日銀、金融機関、上場法人は、国際金融資本の子法人であり、国庫は、国債の発行を通じて金融機関から投融資を受けているから、国際金融資本の孫法人であり、非公開の各法人、その法人資本は金融機関から借入をしているから、国際金融資本の孫法人であり、労働者は、各法人資本から資本、生産手段を貸し出されている。

資本関係から見れば、金融機関は、資本を貸与して労働を疎外して資本を増殖させて、国際金融資本に資本を引渡し、中央銀行の所有関係を土台にした実体関係により、紙幣発行権の存在から、国際金融資本は、その再生産を行い、中央銀行の所有を維持し、国際金融資本の所有法人以外に利息を法律上徴収することができないこととし、産業法人の資本は、資本を貸与し労働を疎外し、資本を増殖させて国際金融資本に引渡すことで債務を返済せざるを得ない。

中央銀行を所有する国際金融資本による資本の前貸しを源泉とした所有法人の資本の増殖分が利益積立金である。国際金融資本は、中央銀行に無制限に紙幣を発行させることができるが故に、中央銀行を所有する民間金融機関の劣後資本が資本増殖過程中において書面上当該金融機関の筆頭株主の留保資本を上回る残高を用意できれば、中央銀行を買収できてしまうから、国際金融資本は、全ての法人から資本を法人資本の経済関係に基づいて使用し得なくし、また、資本を回収しなければならない。

資本関係からみれば、金融資本は配当、産業資本は利息、配当を国債負担の支払いに優先して支払わざるを得ない。

金融資本、産業資本は、利子、配当の原資が足りなくなるから、法人税を全く負担しないか、法定税率より低い税率分しか負担せず、資本関係のある労働者から徴収することになる。金融資本、産業資本は社会の労働者に資本を貸し付け、担保名目で取り上げた労働者の預金から金融資本は利息の名目で労働を疎外できるが、産業資本はそれができない。

国際金融資本がフィクションさせた観念上の国庫は、国際金融資本、金融資本、産業資本の資本の総和より、はるかに歳入、その積立たる資本の規模は小さい。国庫は、金を集めたことにして引き渡して紙幣を得ざるを得ないことから現実には金の発行には制約があることになる。国庫が国際金融資本の債務元利の返済を遅延したり、国庫の債務を免除を受けたにしても、国際金融資本は所有する紙幣発行権の存在から資本不足にはならないが、国際金融資本は、労働者の預金から租税の名目で金、紙幣を徴収する。

資本関係からみれば、現実には法人税支払後の利益から配当が支払われているのではない。株を引き渡したことによる損失の負担は産業法人を経由して労働者へと転嫁されていく。</p>

今回の事例で、課税処分において、配当金に課税することが二重課税にはならないということを事実確定することにより、行政、司法は、APに受取配当金の益金不算入の規定を適用することができないと結論づけることは可能である。

更に、APはロックフェラーとの資本関係に基づいて、日本IBMとの資本関係に基づいて、日本IBMの労働者に疎外労働をさせてIBMの資本に転嫁させたのであって、ロックフェラーからの借入を源泉に投資したことにより、リターンを得たのであって、株式の譲渡ではなく、全額配当であり、金員を投資し架空資本の取得して支出した金員へ付与された評価額はAPにおいてもロックフェラーにおいても配当所得の原価とはならないであろう。

課税側は、株式の引渡し、みなし配当について、一般常識、社会通念、合理性、持株会社の目的、租税回避の意図という実体のない観念に基づいて租税回避に当たるか否かを規定し、異常か否かの属性を付与している。

租税訴訟は他に変更を及ばさなければ納税者を勝たせるのではない。司法は、国際金融資本との資本関係上、生産関係上、ロックフェラーに逆らえないから、IBMを勝たせたのである。

上記IBMの事例の後に立法された法律についても、自己株式として取得されることを予定して取得された株式が自己株式として取得された際に生じたみなし配当については、国内外の受取配当金の益金不算入の規定が算入が適用されないとされているが、予定がなければみなし配当の益金不算入の規定が適用されるということであり、予定という実体のない観念に基づいているから、予定がなかったとして国際金融資本に有利に解釈できるようになっている。

100%グループである内国法人間で、所有株式を発行法人である内国法人に対してする譲渡等については、譲渡損益を計上しないとされたが、現実には、国内外の法人は全て国際金融資本の所有であって、自己株式を取得した内国法人が、国内外の見かけはグループ法人でない法人に架空資本を引き渡せば、譲渡損を計上して税負担を免れることができてしまうのである。

国際金融資本の孫法人にすぎない観念上のものを実体化させた国に立法の権限はない。これも、中央銀行の所有関係を土台にした実体関係と国際金融資本の創業経済実体との資本関係をも基礎にした維持義務に基づいて全てのケースを問題提起し、IBMの事例の何年も前に、国際金融資本が官僚を使用して書かせておいた立法である。