当該法人Xは、その代表取締役Aが所有する同族法人であり、代表取締役Aの弟Bが所有する法人Yに無担保で貸付を行った。X社及びAは、Yの株式を所有しておらず、X社とY社には貸付以外に取引がない。Y社は、Xがした貸付の段階において、債務超過であった。その後、Y社は手形が不渡りとなり、手形交換所の取引停止処分を受けた。債務者が親族や友人で、債権者からの弁済圧力が少ない場合には、貸倒損失の事実確定の基礎とはならないとの見解があるが(Bittker,p33-11,12)、国際金融資本と当該法人との資本関係に基づく労働力を再生産して養育する義務を土台にして親族を生存させているのであって、資本金名目の投資はなくても、債権を有する当該法人と親族の所有する法人の間には貸付により資本関係は形成される。貸付の段階において債務超過であっても、貸与する資本、担保名目で提供して投融資を受けて、それを貸与して資本を増殖できる限りは、貸倒れとはならず、債権を有する当該法人とそれを所有する経済実体との資本関係に基づく資本の貸付けであるから、債務免除を法律行為により社会に認めさせた場合には配当となるであろし、そうでなければ、貸付金に据え置かれるであろう。