税務の専門家を標榜するなら、通達や市販の解説書を鵜呑みにしてはいけません。批判しながら読みましょう。
法人税基本通達9-6-1にいう相当期間は、いかに解釈するのか。
金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合については、通達は、下記のようにいう。
通達とは、法律上、社会に当該条文に書いてあることを認めさせていない、行政内部の命令規範、俗にいうマニュアルのことである。
税務行政内部において、指示を出すのは、名義上は、税務署長であるが、国際金融資本との経済関係を見ながら出すので、事実上は、国際金融資本と税務職員の生産関係すなわち雇用関係である。
よって、通達に書いてあるとおりにやると、お前がした経理を認めてやるよ、というものであるから、事実上は、法律である。
それでは、法人税基本通達(以下、法基通という。)を見てみよう。
法基通9-6-1
法人の有する金銭債権について、次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額の内、次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。
「相当期間が継続し、・・・」は、括弧(4)に存在する。
(4)債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し、書面により明らかにされた債務免除額。
このように、課税側は、通達を用いて、相当期間について、それは、どれ位継続した場合なのかを評価していない。
曖昧に規定しておくことで、国際金融資本の経済関係に応じて、貸倒れの処理を肯定するか否定するかを決めることができるのです。
市販の質疑応答書は、下記のように言います。
債務超過が続く場合について、「それにより金銭債務の弁済を受けられるかどうかは、個別に判断することが必要になります」とした上で、「一般的には、債権の発生時期、支払期日、債権の回収のために払われた努力、回収できないことが決定された経緯などについて検討して総合的に判断すべきと考えます」としています。
裁判例は、「一般に法人の会計処理上の貸倒損失計上を認め得る基準は、公正妥当な会計処理の基準に従い、債権者が債権回収のため真摯な努力を払ったにもかかわらず、客観的に見て回収の見込みがないことが確実となったことを要し、単なる債務者の所在不明、事業閉鎖、刑の執行等の外的事実のみでは、これを直ちに貸倒れと認めることができない」としている(東京地判昭和49年9月24日)。
前述の文献は、この裁判例を挙げて、回収努力を行ったけれども、債務者の資産状況、支払能力等からみて回収が不可能であるとした場合の回収努力期間は、通常1~2年間を指して指し、その結果回収不能と判断できれば、貸倒損失の対象となります。
但し、特別な事由(災害、取引先の倒産その他経済事情の激変)により、債務超過となり、回収不能に陥った場合には、必ずしも原則による必要はないと考えます。
なお、個別評価金銭債権に係る個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定事由の一つとして、「債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続し、かつ、その営む事業に好転の見通しがないこと」が掲げられており(法令96①二)、この場合の「相当期間については、「概ね1年以上」とする取扱いが定められていますが(法基通11-2-6)、毎期洗替えの貸倒引当金の場合に比して債務免除による貸倒れの判断が厳格になるのはやむを得ないところであろうと思われます。また、現実の企業実務も、1年程度の債務超過で軽々に債務免除に踏み切る等のことは、通常、考えられません(渡辺淑夫・山本清次編・法人税基本通達の疑問点四訂版605-606頁)。
別の文献は、下記のようにいう。
債務超過であっても、事業を継続し、正常に債務の弁済をしている法人は、いくらでも存在しているし、債務者が債務超過であるだけで債権の回収を諦める債権者はいない。
債権者が債務超過に陥っている場合には、債権者としては、回収のための懸命の努力を尽くすはずであり、その一方で、その回収努力にもかかわらず、回収を諦めることを決断しなければならない時期が到来することになる。
「相当期間」とは、このあらゆる努力を尽くすための「回収努力期間」に最終的に回収期間を見切るための「回収断念期間」を加えた期間といえよう。
したがって、債務者にとって天災事故、経済事情の急変等があった場合等には、金銭債権が「回収不能」であるとはことは、「3年から5年」も要することなく極めて短期間に見極めが付くことになり、逆に、債務者の営業成績が緩やかに段階的に低下しているような場合等には、金銭債権が「回収不能」であることは、「3年から5年でも見極めがつかない場合もあり得る」(瀬戸口有雄(二訂増補版貸倒損失の税務168~169)。
恣意課税がいけないと他の裁判例ではいけないと言っておきながら、「客観的に見て」って、観念で決めちゃうの?それって恣意課税とどこがちがうの?
通常を連呼するけど、それも観念じゃねえの?
きちんと現実の経済関係を調べなくてもいいの?
回収のための努力を連呼するけど、実際に回収という労働をしたかじゃねえの?
それに、てゆうか、天災なんてあるの?全てフィクションじゃね?
法人税基本通達にいう「相当期間」とは何か。債務超過が継続していても、債務を負う経済実体は、法人及び法人を所有する経済実体の資本を貸与するか、その資本を担保名目で所有を引き渡すことにより、金融資本から投融資を受けて、資本関係から、資本を労働者に貸与して労働を疎外し、疎外した労働を資本に転嫁することを余儀なくされている。
国祭金融資本との資本関係から、債権者は、全ての手段を尽くして債権を回収することを余儀なくされる。回収を断念するしないの意思は債権者には存在しない。優先債権を有している場合には、債務の弁済を受けた後の劣後債権を有している場合には、優先債権を有している債権者に弁済した後の資本が、労働者に貸与をフィクションしたり、担保名目で投融資を受けたり、担保名目資本を引き渡したりするだけの水準にないことにより法律上の貸倒れの事実確定が行われる。巷間言われている3年とか5年というのは、経済過程に属性を付与したものであり、現象面のみにとらわれた法則であって、貸倒損失の事実確定の基礎とはならない。
湯水の如く、労働者に貸付けがフィクションされ疎外労働がエンドレスにループする。利息を労働者に負担させる。
一方で、国際金融資本が出資設立した金融機関は、貸倒損失を認めてしまう。
中小企業間の事業取引の場合、労働力の再生産ができないのなら、貸倒損失の計上を認めてやれよ。