[事実関係]
借入金利子と土地の取得費との関係について、下記の裁判例がある。
既に取得した土地について、その登記名義を真正な所有権者の名義に変更するための訴訟費用を支払うために借入れた借入金の利子は、間接的には資産の所有権を確保するための支出であっても、資産を取得するために直接要した費用ではないから、所得税法38条にいう資産の取得費に含めることはできない。
(昭和49年12月24日裁決)
[解説]
借入金の使途については、実体のない観念である目的ではなく、現実にどの経済実体の資本に投下されたかについてて現金の使途についての事実の摘出がされる。
現金は所有主を持たないから、投融資を受けた現金が訴訟費用に投下されたか否かを規定することは困難である。投資した側との資本関係、他の経済実体との経済関係によって、すなわち、現金によって、その使途、現金に所有される経済実体が規定される。
各経済実体の意思によって規定されるのではない。
土地を取得した資本は、金融資本との資本関係から、土地を所有し、生産手段にして労働を疎外して疎外した労働を資本に転嫁していることを基に法律上の権利にして資本の転嫁を社会に認めさせることを余儀なくされる。
訴訟費用は、所有権を社会に認めさせざるを得ないということを基礎とする費用である。土地を取得し所有するだけでは資本は増殖しないから、資本に転嫁されて法律上の権利を取得することを余儀なくされるから、資産を取得する過程で取得の基礎となった費用ではないとしたのである。