[事実関係]
崖地に施した設備工事については、
「本件崖地は、請求人の経営する病院の敷地に隣接するもので取得後20数年の間に自然現象による侵食のあったことが認められるが、この間請求人は何等防護設備を設けることなく推移したところ、病院の改築を契機に崖地の崩壊防止を兼ねて防壁設備工事を施工した。この工事は、崖地の突出部分を削り取ることにより病院敷地としての有効面積を約60平方メートル拡大させたほか、その防護設備は厚さ15センチメートルの鉄筋コンクリートによるものであって、当該工事中に修繕費の部分を認めることはできず、その費用は土地の取得価額に計上するのが相当である」とした裁決例がある(昭和59年11月30日裁決)。
[解説]
課税という手段による現金留保の国際金融資本への集中という経済過程からすれば、自然という言葉で片付け実体があることが解明できていないものを放置することなく、現象面のみにとらわれずに、20年間工事をしなかった理由、今回工事をせざるを得なかった基礎となる資本関係、経済関係、生産関係を含め全ての事実関係を摘出して事実確定をする義務がある。
契機は実体のない方便であって、崖地を削り取ったことを基礎に、病院敷地にして労働者に貸与して、労働を疎外して疎外した労働を資本に転嫁したのであるから、防壁工事名目で現金と引き換えに土地と構築物たる防壁を取得したということになる。