[事実関係]

資本的支出に関する裁判例に「事業の用に供している固定資産につき、その耐用年数ないし価値を増大させる支出があった場合には、当該資産が自己所有であると賃借物ないし無断転借物であろうとを問わず、当該支出は資本的支出となる。

けだし、賃借物の場合は勿論無断転借物の場合にも改修者は改修費につき所有者に対して民法196条2項による費用償還請求権ないし同法248条による償還請求権を有するから、仮に賃借物ないし転借物を所有者に返還しても改修者の資産の増減を来すももではないからである」とするものがある(京都地判昭和36年6月3日)。

[解説]

現金商品を投下し、固定資産を改修して生産手段にして労働者に貸与して労働を疎外し、生産労働の短縮により、疎外した労働が固定資本に転嫁される割合が増大したり、生産過程の回転数の増加又はそれ以外の労働過程の増加により、疎外された労働が資本に転嫁する割合が増大したのであれば、資本を増殖させる基礎となった支出である。