最終仕入原価法を採用している法人が実地棚卸をしたところ、直近の仕入単価200円の商品が帳簿残より2個少なかった。仕入先に直近における現実の出庫数を問い合わせ、事実関係の全てを調査したところ、直近の仕入の段階の記録上は50個納品とあるが、仕入先が商品48個引き渡して現金商品を得るということが取引の基礎となっており、現実にも48個しか納品されていなかったことがわかった。
(借)棚卸減耗損 400 外 (貸)商品 400 外
事業年度末の段階で帳簿残よりも実地棚卸残の原因が不明である場合には、損失であることが確定していないから、帳簿残と実地棚卸残の差額は、原因が確定できるまでは貸借対照表上の棚卸資産から控除せずに残して置かざるを得ないであろう。数量の差異分が現実に存在していなかったということが確定していないから粉飾決算という事実確定はできないであろう。資本と生産手段を有しない使用人は、生産関係上、法人の商品を現金商品と交換することができないから、出荷の報告がなく、帳簿に記録されていないだけで、現実には出庫した商品があれば、減耗損を計上すると売上計上洩れとなる。資本が知っていたか否かは実体のない観念であるから、知っていたか否かは売上計上洩れの事実確定の基礎とはならない。仕入先との取引の基礎が商品50個と引換えに現金を得るというもので、事業年度末現在48個しか納品されていない場合、棚卸減耗損としてしまうと未着品計上洩れになる。