労働基準法は、労働時間を週40時間、1日8時間と定めた上で、例外規定を置く。
資本は労働過程、経済過程に時間という属性を付与している。労使協定による時間延長ができる旨を定めており、当該協定は、法36条に基づくことから36協定と呼ばれる。
法律は資本関係に基づいて時間外労働について最低条件しか書いておらず、法に従っていても現実には疎外された労働については、完全に賃金が支払われたわけではない。
資本の所有である女性は現実の労働と引き換えに現実の労働に応じた現金商品が与えられず、未だ紙幣発行権、準備金制度を承継又は取得、所有していない男性資本、資本を持たない男性労働者に貸し出され、生殖による資本、労働力再生産を余儀なくされ、女性は男を通じ資本に閉じ込められ、男性は、資本の所有である女性、子供の養育をすることを余儀なくされてきた。
資本関係により、生活の土台となる労働過程は短縮され、法人に資本関係から課された現金留保義務からの労働過程の延長が実施されたのである。現実の労働過程が延長されればされるほど、労働が疎外されて、資本に転嫁される労働の割合が増大する。
労働者は、女の子供の養育義務から、資本の増殖の基礎となる労働に応じざるを得なくなる。
資本は、資本関係、生産関係を土台に労働者に一定の時間に労働終了のタイムカードを押させてから労働させ、残業代、割増賃金の支払いを免れてきた。
労使協定は規定し適用しただけで、原因なく、ブルジョア経済学者、ブルジョア法律学者の言うような自然に実体化するものではない。
資本関係に基づき、資本と生産関係にある行政機関への届出という法律行為により、労使協定を実体あるものと社会に認めさせることに成功することを余儀なくされる。
週60時間以上労働する正社員は2割を超え、現実にはこれに通勤過程が加算されるのである。現実には労働者側に意思はないのである。
延長の限度は、行政指導上の基準として、週15時間、一ヶ月につき45時間と規定されているが、これには適用除外、特例が付されている。
労働基準法36条1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準は、「限度時間を超えて労働時間を延長をしなければならない特別の事情が生じた場合に労使当事者間において定める手続きを経て、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる」旨を36協定に定めることができるとする(3①但書4④)。
2003年には特別の事情を臨時的なものに限るとする改定が行われ(平15.10.22厚労告355号)、2008年には、労使当事者は、①限度時間を超える時間の労働に係る割増賃金の率を定めること、②法定割増賃金率を超える率を超える率とするように努めること、③限度時間を超える延長時間をできる限り短くするように努めることが規定され、労使協定を締結することとなっている。
当該基準は資本の努力義務にとどめ、延長過程の制限を定めず、国際金融資本の所有関係、資本の留保利益に応じて現実の労働を疎外疎外した労働を資本に転嫁する割合を高め、賃金を搾取するという逃げ口上を認めているのである。
法律上、法定休日は月4日とされ、週休2日の経済実体の場合、法定外休日については休日労働の割増賃金を支払わなくて差し支えないこととされている。時間外労働時間が月60時間を超えた場合には50%割増の賃金を支払わなければならないが、中小事業者は3年間猶予されている。
肉体労働でない労働者には、名目上の裁量を付与して、現実にはない自由意思に基づく残業との方便により残業手当、割増賃金の支払いを資本が免れる法案が創設されている。
労働時間の制約、割増賃金を支払う義務のない、入社の段階で契約した解雇条件を充たせば解雇できる解雇特区の創設も検討されている。成長戦略は、各資本の増殖を通じた、国際金融資本の所有する留保資本の蓄積の土台、原子力、石油への投融資、戦争の実施の源泉となるのである。
資本関係から生存義務が課されている現実、資本関係に基づく生産関係に鑑みれば、法定休日、法定外休日を問わず、休日以外の1日の労働過程を超えて労働をした場合には、超えた労働過程分については35%の割増賃金に更に割増で賃金を支払う義務があると解される。
代休日を無休とする就業規則は労働の疎外である。休日労働をしたことは既成事実であり、消滅し得ない事実である。
紙幣発行権、準備金制度の取得過程の実体関係の存在、国際金融資本から課せられた資本の利子配当支払いの土台となる利益留保義務に基づき、資本は、労働過程の一部を代休扱いとし給与を差し引き、生殖による労働力の再生産を余儀なくされている労働者、資本、生産手段を持たない労働者は生産関係に基づいて代休を返上せざるを得ず、資本は労働者の自由意思により自己責任で出勤したとするのである。
始業前の早朝出勤も労働過程の延長である。労働者に時間外労働をせざるを得ない理由は、労働を疎外して納得という実体のない観念に基づいて実体あるものとする理由ではない。
理由を記載することで、疎外された現実の労働、労働条件、生産関係を始め全ての事実関係を摘出して問題提起し、法律、就業規則の解釈、包摂するか否かを確定することで、時間外労働を止める義務が資本にはあるのである。 資本、生産手段を持たない女性労働者は、解雇されて失業したり、賃金が支払われなかったりされることにより、男を通じて資本に閉じ込められ、無償の家事労働、無償の性労働をすることを余儀なくされるから、産休をとったことによって時間外労働をしなかったことにより不利益を課すことはできないと解される。