[事実関係]

 魚介類並びに海産物等の卸販売業を営む株式会社である原告法人Xは、本件係争事業年度において3回売出を行い、下記の費用合計77万3,990円を支出した。

第一回売出ー一定の品目数量の商品を最低6万9,520円買い受けた者を宮城県松島旅行に招待し、右招待旅行参加者71名の費用37万6,705円(1人当たり約4,892円)、不参加者6名の割戻金2万3,500円、計40万205円。

第2回売出ー一定品目数量の商品を最低1万562円買い受けた者を上田城跡花見会に招待し、当該費用4万6,191円。

第3回売出ー一定の品目数量の商品を最低6万8,814円買い受けた者を静岡県伊豆方面温泉旅行に招待し、招待旅行参加者63名の費用30万9,507円(1人当たり約4,912円)不参加者6名の割戻金1万8,087円、合計32万7,594円。

X社はかかる費用を損金として本件係争事業年度の所得金額から控除した確定申告を行ったところ、税務署長は、本件費用が旧租税特別措置法5条の12第4項に規定する交際費等に該当するとし、その限度超過額の損金算入を否認し更正処分を行った。

 第1審は、

「X社は本件費用は事業費であると主張し、本件費用の支出の相手方との間に具体的取引関係があることをその理由とするが、旧措置法第5条の12の交際費等はその支出の相手方との間に具体的取引関係のないことをその要件とはしていない。

またX社は、本件費用は利益増加のために要した費用であることを理由とするが、旧措置法第5条の12は企業会計上損金性を有する費用のうち、企業の合理化を図るという政策的目的から、一定限度を超える交際費等の損金性を否認したものであるから、利益増加の費用であることを理由にその損金性を主張することはできない。

X社は本件費用を広告宣伝費と主張するが、本件費用支出の相手方は先に認定したとおり、X社の得意先である特定の小売業者であるから、本件費用はX社において新しく得意先を拡張するための費用ではないし、不特定多数の買受人の中から抽選によって相手方を選んで行う招待旅行の費用とは性質を異にすることは明らかである。

X社は本件費用のうち不参加者に支出した分は代金の割引き、割戻しであると主張し、不参加者全員に対し旅行に要した1人当りの費用を一律に交付したものではないことを認めることができるが右各交付金額と不参加者の取引金額との比率が一定しているわけではないから、右の事実は右費用を代金の値引き、割戻しと認めるべき特段の事情とはならない。
以上の次第であるから税務署長が本件費用を交際費等に該当するものと認めて所得の計算上旧措置法第5条の12第1項の限度額超過額を所得金額に算入したことは適法である。」とした(長野地判昭和38年4月9日)。

 控訴審は、

「この規定はかなり広くその支出の相手方や支出の目的が定められており、法人企業の経営上真に止むを得ない重要な意味をもつ会計上の支出であって、右にいう交際費等に該当すれば一定限度を超える額は損金に算入しないと規定しているものである。

本件支出の相手方はいずれもX社と多年取引関係にいわゆる常取引先であり、本件売出にかかる各商品はいずれもかねてからX社とその得意先との間において取引されていた保存食品であって、そしてその支出した費用の内容は温泉地等において招待した相手方と酒肴をともにしたいわゆる『接待・きょう応等』の費用がその大部分を占めていることが認められ、右認定を覆す証拠がない。

そうすると本件費用はその相手方及び支出の目的からみてX社と得意先との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図るために支出されたものというべく、本件費用の支出はまさに旧租税特別措置法にいう交際費等み該当するものというべきである。

そして支出した費用が売上の増加利益の獲得にどのような役割を果たしたかは同法にいう交際費等の定義において問わないところである。

X社は取引先が本来限定されており旅行に参加した者は任意且つ不特定であるというけれども卸売業者と小売業者との関係はX社も認めるように自ら量的に制限された相対的に閉鎖されたものであるから、任意且つ不特定とは言い得ないものであって、本件特売についても、X社が招待旅行に勧誘した案内状は同社の得意先件数と略同数位の枚数を用意したにすぎないことが認められしかも商品の良廉性等を宣伝したものとはいえないから、本件支出費用が広告宣伝費ではなくて、交際費等にあたるものというべきである」とした(東京高判昭和39年11月25日)。

[解説]

 費用には損金性という属性は備わっていない。支出に重要な意味は備わっていない。国際金融資本が既に所有する、資本関係を源泉に紙幣発行権、準備金制度を取得するという過程についての実体関係の存在、資本関係から、投融資された全ての経済実体は、利子配当の基礎となる現金留保せざるを得ない過程がある。

中央銀行を所有する民間金融機関を所有し続ける基礎となる現金を留保し、架空資本を購入、所有することができる現金を留保させない義務が原所有者との資本関係からある。現実に現金留保の過程にあるものが費用ということになる。利子配当の基礎となる現金留保を国際金融資本に所有される。

名目をつけて支出するだけで自然に金銭が湧き出てくるということはありえない。商品には良廉性という価値属性は備わっていないから、商品を購入させて生産手段にして貸与させ労働を疎外し疎外した労働を資本に転嫁させざるを得ない。

経済実体の資本は、資本関係から、労働を疎外して、疎外した労働を資本に転嫁し、生産した商品を購入して現金商品を引き渡した経済実体に、旅行参加権という名目で経済利益を供与したり、商品、労役についての情報を供与し、旅行、情報作成労役提供と引き換えに義務付けられた現金商品の支払いを、労働力商品に転嫁して現金商品と労働力商品を交換し搾取せざるを得ない。

資本関係上、経済関係上、商品を購入する経済実体は商品を購入し続けざるを得ず、旅行に参加するしないに自由意思はないから交際費とはなりえない。

情報の供与、利益供与をせざるを得ないという契約を実体あるものと社会に認めさせることが、資本関係を源泉とした紙幣発行権、準備金制度の所有関係から否定された。 しかし、利益増加の目的、政策目的、拡張するため、支出の目的、意図は実体のない観念であるから事実確定の土台とはならない。

取引先は現実に限定されていることはあっても本来限定されているということはないから、本来限定されているか否かの問題提起は成立しない。