[事実関係]
貸金業、不動産業及びこれらに付随する業務を営む原告法人Xの法人税確定申告について、税務署長は山林の下刈費用を山林立木の取得価額に算入すべきとして損金算入を否認して更正処分を行った。
裁判所は、
「山林立木の下刈費用は当該山林立木を育成するために不可欠の費用ということができるところ、本件における山林立木が、たな卸資産であるのか、固定資産であるのか、必ずしも明らかではない。
しかし、仮にたな卸資産とすると、自己の製造、採掘、採取栽培、養殖その他これらに準ずる行為のために要した原材料費、労務費及び経費の額は当該資産の取得価額を構成するものであるし(法人税法施行令32条1項2号イ)、固定資産とした場合にあっては、山林立木は非償却資産であって、非償却資産の取得価額について法人税法上の明文の規定はないが、原則として償却資産の取得価額に関する規定が類推適用されるものと解すべく、そうすると、自己の建設、製作又は製造に係る減価償却資産については、当該資産の建設、製作又は製造のために要した原材料費、労務費及び経費の額は当該資産の取得価額を構成するものであるから(法人税法施行令54条1項2号イ)、いずれにしても本件における山林立木の下刈費用は当該山林立木の取得価額を構成すべきものである。
したがって、税務署長がこの費用についてX社のした損金経理を否認して益金に加算したのは正当である」とした(広島地判昭和55年7月15日)。
[解説]
支出した現金に損金という価値属性は備わっていない。損金となるか否かは経済過程によって規定される。
山林は実体のない観念たる使用目的を主張するだけでは、所有しているだけでは現金留保を産まない。生産手段にして労働者に貸与し疎外された労働が資本に転嫁される。既に労働を疎外済の土地を資本関係から現金商品と交換せざるを得ないという資本関係、経済関係が成立していれば棚卸資産ということになる。疎外された労働を資本に転嫁することを継続せざるを得なければ固定資本ということになる。
資本は、土地を生産手段にして所有法人又は土地を譲り受けた所有法人又は譲渡を受けたその他経済実体の労働者に貸与して労働を疎外して疎外した労働を資本に転嫁する過程の土台となった費用であるから土地の取得価額に含まれる。
山林を引き渡すことによって取得した現金商品全額は譲渡した法人の労働者に貸与して労働を疎外して疎外した労働を資本に転嫁していれば資本の配当所得で譲渡した法人の労働者に貸与して労働を疎外して疎外した労働を資本に転嫁していなければ現実には譲渡法人の配当収益ということになるであろう。
固定資産である場合、固定資本には価値属性は備わっておらず、労働が疎外されて資本に転嫁されて現金商品と交換され、価値属性が付与され、生産手段にして貸与され、労働が疎外されて、疎外された労働が固定資本に転嫁されるが、疎外された労働分は現実には労務費であって、価値属性が減少したのではなく、資本に留保されたままである。
国際金融資本が資本関係を土台にして、所有法人に償却費という名目で利子配当の原資位たる現金留保を余儀なくさせたものが減価償却である。