[事実関係]
賞与の基礎となる期間の出勤率について、
「本件90%条項の制度の下では、勤務を継続しながら出産し、又は育児のための勤務時間短縮措置を請求することを差し控えようとする機運を生じさせるものと考えられ、上記権利等の行使に対する事実上の抑止力は相当強いものとみられるのが相当である。」とし、
本件計算式の適用について、産休日数及び勤務短縮分は
「本件各回覧文書の定めるところに従って欠勤として減額の対象となるというべきである。上記各計算式は、本件90%条項とは異なり、賞与の額を一定の範囲内でその欠勤日数に応じて減額するにとどまるものであり」とし、
法律も就業規則も産休及び勤務短縮措置による不就労期間は無休とされていることを挙げ、
産休及び勤務短縮分を欠勤日数に加算し、支給計算から除外する「本件各除外条項は、労働者の上記権利等の行使を抑制し、労働基準法等が上記権利等を保障した趣旨を実質的に失わせるものとまでは認められず、これをもって直ちに公序に反し無効なものということはできない」とする判決がある(最判平成15年12月4日)。
[解説]
産休については労働基準法65条に規定されている。
法は、資本の現金留保過程を土台に、労働者の生活の土台となる経済を疎外して創設され、司法は法の趣旨と交渉して法の包摂を行っている。
給与、賞与の支給の問題は公序の問題ではなく、生産関係上の義務である。
労働者は、資本、生産手段を持たず、労働力を売って生産関係に基づいて労働をせざるを得ない。
労働者は、労働条件を生産関係の存在から受け容れざるを得ない。労働者に意思はない。資本関係から、男に貸し出され、労働力の再生産を義務づける。男は生殖に応じることを義務づけられる。
資本関係から課せられた現金留保義務から、資本がマタニティハラスメントを用いて、妊娠した労働者は退職を余儀なくされ、男を通じて資本によって閉じ込められる。
性労働と家事労働という無償労働を余儀なくされてしまうという現実があるである。
経済実体たる全ての男は、金銭を投下して資本の所有である労働力再生産を余儀なくされる。
国際金融資本も、子弟をもうけ紙幣発行権、準備金制度の所有を維持せざるを得ない。産業資本も子弟を作り投融資を受けたことによる担保にすることを余儀なくされる。
資本によって規定された男女の性別を問わず、全ての経済実体は、中央銀行を所有する民間金融機関の所有関係を土台とする資本関係から生存義務が課され、労働者は資本、生産手段を持たず、労働力を売らざるを得ない。
生産関係に鑑みれば、資本は、産休をとることができる、復職ができる生産関係を作る義務がある。
病気による欠勤や産休中の給与を支払う義務があり、賞与の算定の基礎に含める義務がある。ママタハラによって退職を余儀なくされることをなくする義務がある。男を通じ資本に閉じ込められることをなくする義務がある。
ドメスティックバイオレンスに耐えざるを得なくなっている現実をなくし、離婚した者やシングルマザーでも生活できる生産関係を造る義務がある。
労働者は資本、生産手段を持たず、労働力を売らざるを得ない。
資本は、産休後に復職できる生産関係を作る義務がある。
保育所は生産をせず、投融資によるリータンを産まなくとも、託児所を作る生産関係上の義務が資本にはある。オフショア資産、紙幣発行権、準備金制度の存在から、福祉に現金を投じりことにより現実に現金不足になることはないのである。