[事実関係]
電気機器の販売を行う有限会社Xは、仮名預金が171万3,237円が払い戻されたことをもって、税務署長は、当該金員について、X社の資本金の70%を出資する代表者であるPへの賞与の支払いに供したものとして、Xに対して、旧所得税法38条の規定に基づき、源泉徴収に係る所得税及び不納付加算税の賦課決定処分をした。
X社は、かかる簿外預金はX社に帰属するものではない、仮にその預金がX社み帰属するとしても、その払戻金は別の仮名預金に預け入れされることによりX社の内部に留保されており、したがった、これをPに支給したことはないなどと主張した。</p>
裁判所は、
「会社の簿外預金の払い戻し金を会社役員の認定賞与と認めるには、会社役員がこれを何らかの形で取得したことが積極的に立証されるか、少なくともそれを推認するに足りる事実が立証されることが必要であるというべきであり、このことは、会社役員が簿外預金を自己の管理下において自己の意思により処分できる地位にある場合においても同様である。
しかるに本件においては、払い戻し金の使途は不明であるというだけで、合計2百数十万円という当時としてはかなりの大金であるにもかかわらず、その一部についてすら、X社がこれを取得した事実についてのみならず、取得を推認するに足る事実についての証拠も全く存在しない。
そうすると、X社がX社代表者に賞与を支給したものと認定していた税務署長の本件処分は、その余の点を判断するまでもなく違法であるとうわなければならない」とした(東京地判昭和52年3月24日)。</p>
[解説]
貨幣は所有主を持たない。資本の内の現金によって、資本に所有される経済実体が規定される。全ての経済実体は意思を持たない。
民間金融資本の所有を通じた中央銀行の紙幣発行権、準備金制度に関する実体関係の存在から、既に紙幣発行権、準備金制度を所有している国際金融資本すなわち現金商品が、現金商品と引き換えに、現金、架空資本、経済実体、生産手段を回収し、所有する。法人の資本が金融資本の投融資を受けていれば、法人の資本は、法人、法人の資本の留保現金を金融資本の現金留保、回収義務、金融資本との資本関係に基づいて使用せざるを得ず、生活の土台となる経済に基づいて使用できない。
役員は資本と生産関係にあり、使用人であって、資本が投下した現金を生活の土台となる経済に基づいて使用できない。資本に所有されているかは、全ての方法、手段を尽くして、全ての事実を拾い上げ、それを一つ一つ全てにつき調べ、他の全ての事実それぞれとの関係を把握して事実確定しないと現実の事実、事実関係と乖離する。