[事実関係]

 税務署長が、原告法人Xの行った贈答費、役員の出張旅費等を損金に算入したことを否定し、また、X社から関連法人への立替えあるい貸付けに伴う受取利息相当額をX社の所得金額と認定して更正処分を行ったところ、X社は、当該処分は違法であるとして訴を提起した。

 裁判所は、「仮払金勘定は、将来精算される費用等の支出を仮に行うために、一時的に処理する目的で用いられる勘定科目であるところ、争いのない事実によれば、本件仮払金は一時的に発生し、その後長期間にわたって精算されておらず、また費用として精算すべき合理的理由も見当たらないところから、実質的にはAに対する貸付金と認められる。

そして、法人税法22条項は、内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、当該事業年度の益金に算入すべき金額の一つとして、無償による役務の提供に係る収益の額を規定しているところ、金銭消費貸借契約において当事者間で無利息による貸借が行われた場合は、法人税法上無償による役務提供に該当し、社会通念上妥当な利息相当額の収益が発生し、また低額な利息の約定がなされていても、社会通念上妥当な利率による利息相当額との差額について同様に収益が発生すると解される。

本件の貸金について、各事業年度において無利息による融資を行っており、これは無償による役務の提供に該当し、社会通念上妥当な利息相当額の収益を計上すべきである」とした(岡山地判平成14年7月23日)。

[解説]

 法人の資本が支出した金銭は、実体のない観念である支出の目的ではなく、現実の使途、返済過程、投融資を受けた経済実体の労働を疎外して資本に転嫁する過程に基づいて事実確定が行われる。債権は所有しているだけでは現金を産まない。

無償貸付から現金留保から現金留保が実現し、そこから元本との差額が贈与されたのではない。無償部分から収益が実現するとしてしまうと、有償譲渡の場合、有償譲渡からも無償譲渡からも収益が実現し、二重に収益が実現することとなり経済、実体と乖離してしまう。

民間金融機関の所有を通じた中央銀行の紙幣発行権、準備金制度の取得に関する実体関係の存在から、既に民間金融機関の所有している国際金融資本によって、法人の資本は、投融資を受けて現金を貸与するか生産手段を貸与して金銭、生産手段の投融資を受けた経済実体の労働の疎外を余儀なくされるが、当該法人の現実の留保利得は疎外され、国際金融資本の既存の民間金融機関の所有関係に基づいた現金留保、回収義務に基づいた利率によって、所得を計算することを余儀なくされる。

よって、元本プラス国際金融資本との資本関係による利息が債権金額で、投融資を受けた経済実体は、元本プラス国際金融資本との資本関係による利息分が現金商品を引き渡す債務である。社会通念は、資本関係、経済関係、生産関係を土台に形成される。