[事実関係]

 請求人Xは、ニューヨーク州法に基づき平成8年5月16日に設立されたリミテッドライアビリティカンパニー(LLC)に、平成8年6月24日にUS$1,000,000を出資し、9分の4の持分を所有する構成員となった。

Xが構成員となっている当該LLCのニューヨーク州及び米国内国歳入法上の課税形態は、パス・スルー課税が採られており、当該LLCの構成員であるX及び他の構成員たる法人が納税義務者となっている。

Xは、平成8年分及び平成9年分の所得税確定申告において、当該LLCが行っている不動産賃貸業に係る不動産運用損失の内、Xの持分に見合う損失をXの他に不動産所得と合算し、更に、給与所得の金額と損益通算して確定申告をした。

税務署長は、当該LLCは、日本の租税法上、私法上の法人概念に借用により外国法人と認められること、及び、当時適用のあった旧日米租税条約には、日本のかかる私法上の取扱いが是正されるような特段の定めがないことを挙げ、当該LLCの運用損失外国法人と認められる当該LLC自体に帰属するものであるとして、Xの出資持分に見合う不動産運用損失を各年分の所得金額に加算する更正処分を平成11年2月3日に行った。

 審判所は、

「外国の法律によって設立された事業体が我が国の租税法上損益に帰属主体となるか否かについては、当該設立準拠法の下で権利・義務の主体になることができる法律上の資格(法人格)が与えられているか否かが判断基準となるところ、ニューヨーク州LLC法には、我が国の商法54条第1項で規定する『会社ハ之ヲ法人トス』といった法人格の存在を直接規定した条項は存在しない。

このため、当該LLCが損益の帰属主体となるか否かについては、ニューヨーク州LLC法の下で当該LLCに認められている権利・義務の内容から判断しなければならない。

また、米国内国歳入法における法人課税の対象は、設立準拠法の下で法人格が与えられているか否かでは決せられず、米国内国歳入法で、その範囲や種類等を別途定める制度が採用されているところ、我が国の租税法上損益の帰属主体となるか否かについては、設立準拠法の下で権利・義務の主体たなることができる法律上の資格(法人格)が与えられているか否かが判断基準となるのであって、米国内国歳入法上法人課税の対象とされているかが判断の基準となるものではない。

当該LLCの我が国の租税法上の取扱いは、次のとおりである。

当該LLCは、

①商行為をなす業を目的でニューヨーク州LLC法に従った設立手続を経て設立された事業体であり、

②設立準拠法であるニューヨーク州LLC法の下で、契約、財産権の所有、裁判、登記等において当事者となることができる資格を与えられている上、

③ニューヨーク州LLC法の下で、契約、財産権の所有、裁判、登記等において当事者となることができる資格を与えられている上、

③ニューヨーク州LLC法で『LLCは、(構成員とは別個の)独立した法的主体である』と規定されていることから、同法の下で権利・義務の主体となることができる資格を付与された事業体であると認められる。

また、当該LLCの事業活動の実態をみても、当該LLC自身が、その所有する本件賃貸ビルを自らの名において不動産賃貸業の用に供し、その収益や資産を管理し、不動産税を納付するなど、構成員とは異なる権利・義務の主体として活動していることが認められるのであって、事業活動等の実態面においても上記の判断を覆す点は認められない。

したがって、当該LLCは、その設立準拠法であるニューヨーク州LLC法の下で法人格(権利位・義務の主体となることのできる法律上の資格)を付与された事業体であり、かかる法律上の資格と実態を有する当該LLCは、我が国の私法(租税法)上の外国法人に該当し、当該LLCが行う事業から生じる損益は、当該LLCに帰属すると認めるのが相当である」とした。

(国税不服審判所平成13年2月26日裁決)

[解説]

 貨幣は所有主を持たず、資本が経済関係、経済過程を規定する。LLCもその構成員も国際金融資本の所有関係から、現実に投融資を受けて現金を貸与するか、生産手段を購入して労働を疎外して疎外した労働を資本に転嫁することを余儀なくされ、法律行為を通じて実体あるものと社会に認めさせることに成功させざるを得ないから、LLCと組合員は別個の経済実体である。

不動産を現実に貸与して、賃借した経済実体の労働者の労働を疎外することによって疎外した労働を資本に転嫁したり、現金商品と交換するという手段により配当を得ることにより、生産関係のある労働者や配当を支払った法人の労働者の労働を疎外し、配当支払いを配当を支払った法人の労働者に転嫁する権利を資本関係から取得することを余儀なくさせられたのは組合である。

組合員は、現金を貸与して、組合の労働者、組合から不動産を賃借する経済実体の労働者の労働を疎外し、また、不動産と現金商品を交換することで配当を得ることを通じて、投融資先たる組合の労働者の労働を疎外し、現金商品を引き渡した経済実体の労働者の労働を疎外し配当支払いを現金処品を引き渡した経済実体の労働者に転嫁するが、Xと生産関係のある労働者の労働を疎外して疎外した労働を資本に転嫁するという過程が存しない。

投融資をした組合員には、組合の税引前の留保利益から配当がされ、利子、経費が支払われ、支払配当、利子、租税は労働者に転嫁されるという経済過程が存在し、LLCと組合員の双方に課税が行われても二重課税とはならない。

組合員は、現金を貸与することにより、投融資先の労働は疎外するが、組合員と生産関係のある労働者に生産手段を貸与して労働を疎外し、疎外した労働が資本に転嫁されるという過程がないから、資産には価値が備わっていないから現実には実体がない減価償却を実体あるものと社会に認めさせることはできない。