[事実関係]
Xらは、被上告人たる日本IBMの使用人であり、ハードディスク事業部門で就労していた。Y社は会社分割を行い、新たに設立する法人にハードディスク部門を承継させることとし、分割計画書において承継する雇用契約としてXらの雇用契約を記載した。
本件は、Xらが、Xらには会社分割による雇用契約の承継を拒否する権利があり、Xらはこれを行使した、日本IBMの行った会社分割の手続には瑕疵がある、本件会社分割は権利濫用、脱法行為に当たる等を主張して、日本IBMに対し労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、及び、手続の瑕疵や権利濫用、脱法行為等が不法行為に当たるとして慰謝料の支払いを求めた。
裁判所は、
「前記事実関係によれば、被上告人は、7条措置として前記のとおり、本件会社分割の目的と背景及び承継される労働契約の判断基準等について従業員代表者に説明等を行い、情報を共有するためのデータベース等をイントラネット上に設置したほか、設立法人の中核となることが予定されるD事務所の従業員代表者と別途協議を行い、その要望書に対して書面での回答もしたというのである。
これは、7条措置の対象事項を前記のとおり挙げた指針の趣旨にもかなうものというべきであり、被上告が行った7条措置が不十分であったとはいえない。
次に、5条協議についてみると、前記事実関係によれば、被上告人は、従業員代表者への上記説明に用いた資料等を使って、ライン専門職に各従業員への説明や承継に納得しない従業員に対しての最低3回の協議を行わせ、多くの従業員が承継に同意する意向を示したのであり、また、被上告人は、上告人らに対する関係では、これを代理する支部との間で7回にわたり協議を持つとともに書面のやり取りも行うなどし、設立法人の概要や上告人らの労働契約が承継されるとの判別結果を伝え、在籍出向等の要求には応じられないと回答したというのである。
そこでは、前記のとおり、分割後に勤務する設立法人の概要や上告人らが承継対象営業に主として従事する者に該当することが説明されているが、これは5条協議における説明事項を前記にとおり定めた指針の趣旨にかなうものというべきであり、他に被上告人の説明が不十分であったがために上告人らが適切に意向等を述べることができなかったような事情もうかがわれない。
なお、被上告人は、設立法人の経営見通しなどにつき上告人らが求めた形での回答には応じず、上告人らを在籍出向等にしてほしいという要求にも応じていないが、被上告人が上記回答に応じなかったのは設立法人の将来の経営判断にかかる事情等であるからであり、また、在籍出向等の要求に応じなかったことについては、本件会社分割の目的が合弁事業実施の一環として新設分割を行うことにあり、分割計画がこれを前提に従業員の労働契約を設立法人に承継させるというものであったことや、前記の本件会社分割に係るその他の諸事情にも照らすと、相応の理由があったというべきである。
そうすると、本件における5条協議に際しての被上告人からの説明や協議の内容が著しく不十分であるため、法が5条協議を求めた趣旨に反することが明らかであるとはいえない。以上によれば、被上告人の5条協議が不十分であるとは言えず、上告人らの設立法人の労働契約承継の効力が生じないということはできない。また、5条協議等の不十分を理由とする不法行為が成立するとも言えない」とした(最判平成22年7月12日)。
[解説]
法人は、実体のない観念たる目的を説明し、会社分割とそれによる生産関係の土台となった現実の資本関係、経済関係の全てを説明せず、国際金融資本が、国際金融資本との資本関係、既存の紙幣発行権所有関係から課せられた現金留保義務に基づき、他の経済実体の経済を疎外して創設された法律の趣旨と交渉している。
国際金融資本は、労働者の経済を疎外し、疎外した労働を資本に転嫁し、投融資を行うことを既に社会に認めさせることに成功しているのであるから、営業の秘密はなく、事実関係を全て開示して、生活、現実の労働を土台とした損害賠償、疎外し、搾取した労働についての賃金の支払い、戦争に投融資することをしない義務がある。
紙幣発行権と準備金制度の存在から賠償や給与を払えないことはありえない。
分割法人と設立法人は資本関係があったとしても、国際金融資本との資本関係から、法律行為を媒介に実体あるものと社会に認めさせることに成功させられた、各々、別個の法人である。労働者は資本、生産手段を持たないこと、生産手段を貸し出され、資本の現金留保義務に基づいて労働を余儀なくされ、労働者の経済に基づいて労働することができないという生産関係の存在から、資本の現金留保過程に関係なく、雇用を維持して生産量に関係なく現実の労働過程に賃金を支払う義務が資本にあるのであるが、現実には資本の現金留保過程に基づき、労働者は労働を疎外され、搾取され、解雇され現金留保の過程を失う。
産業法人は持株法人の現金留保を超える経済過程は有しないこと、持株法人IBMは、IBMを所有する国際金融資本ロックフェラーを超える現金留保を超える経済過程は有しないことは確定している。
国際金融資本とその他全法人の現金留保、既存の紙幣発行権、準備金制度の所有関係を土台とした国際金融資本との現金留保義務、回収義務によって、IBMとその子法人の現金留保が規定され、労働を疎外せざるを得ないことは確定している。
国際金融資本との資本関係から産業も行う持株法人IBMの現金留保過程によって、産業法人は清算を余儀なくされることは確定している。持株法人IBM、その現金留保過程に基づく産業法人の将来の存続、現金留保過程についての不安は、実体のない観念である。現実には労働者は資本を持たないことから、権利を取得していない。
しかし、産業法人と生産関係を締結させることに応じざるを得なくさせられるのであるから、労働者の経済は持株法人より不利益であることは、既存の紙幣発行権、準備金制度の所有関係、国際金融資本、持株法人との既存の資本関係から実体があるから、経済関係、資本関係、生産関係の事実、事実関係の全体化をして労働者の生産関係の不利益変更を避ける義務が資本にはある。
生産関係から労働者は、労働者の経済を疎外した資本関係に応じざるを得ず、法人の資本はその義務を履行していないのである。
納得という実体のない観念の有無という唯心論によるのではなく、現実の労働、生産関係、資本関係、経済関係を全体化して不利益変更を回避しなければならない。
労働者は資本、生産手段を持たず、生産関係に基づいて労働せざるを得ないことから、手続きを踏まずに行った会社分割、労働承継は、資本関係上、生産関係上、経済関係上の事実、事実関係の全体化がなされていないことであるから取消事由になると思われる。