[事実関係]

国際金融資本との資本関係から、法人の資本家は、度重なる労働の疎外を行い、労働者は生活の土台を前借りせざるを得なくなり、法人の資本家は労働者に前貸しして、資本家は、労働者と資本関係を締結する。

労働者は生産関係だけでなく資本関係に基づいて労働せざるを得ず、退職することなく、労働にとどまざるを得なくなる。

裁判例においては、「長期の労働契約をしているのであるから辞めては困る。辞めるなら前貸ししてある金や反物を返していってくれ」と主張して労働を継続させたことが、労働基準法5条違反に当たるとした裁判例がある(名古屋地判昭和25年9月30日)。

[解説]

現行では労働基準法5条に違反した使用者には、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処せられる(労働基準法117条)。

資本関係の存在から見れば、ここでいう使用者は、資本を持たない役員ではなく、資本家と解される。

国際金融資本との資本関係、生産関係から、行政の解釈例規は、前借金その他労働をすることを条件とする前貸しの債権は、労働の強制ないしは身分的拘束の手段となるようなもののみを指し、使用者が友誼的な立場から行う金融はそれに当たらないとする(昭和22.9.13基発17号、昭和33.2.13基発90号)。

この解釈によると将来の労働についての賃金の前借りも、住宅資金の借入れも、前借金その他労働をすることを条件とする債権に当たらないことになっていまう。

資本や生産手段を持たない労働者は、労働が疎外され、搾取されれば、将来の労働を約束して労働を提供を継続せざるを得ない。

労働基準法24条の賃金全額払いについては、労使協定による例外が認められてしまっている。生産関係、資本関係から労働者は、相殺されることに応じざるを得なくなる。

例外規定を持ち出して、17条の相殺禁止に基づいた罰則規定の適用を免れることはできないと解される。

現金は主人を持たない。

労働者は、労働を疎外されているのであって、疎外された労働の評価が、他の経済実体の労働者に貸付がフィクションされているのであり、

労働者が債権者で、国際金融資本は、債務者なのである。

生活費の前借り分や住宅貸付金を毎月月割で給与、賞与から控除して給与や賞与について、現実の労働分の給与を支払ったことを認めさせることに成功しない。

住宅は労働者にとって生存、生活の土台となる給与の生産手段となるものである。

現金は、生産手段、給与収入の源泉となるものである。生活費や住宅貸付金の名目で貸し付けた金銭を給与に充当し、給与に合算してしまうことは、資本が、労働者の現実の労働についての給与分を削減することに成功してしまうのである。

友誼的は実体のない観念であって事実確定の土台とはならない。

融資金額、期間、返済方法に無理がなく、返済前の退職の自由も確保されているような住宅ローン等は許容されるとする見解があるが、生産関係から見ても、現実の社会は、中央銀行の準備金制度の存在から、必要に応じて働き必要に応じて受けと取ることが可能であることから見ても、資本を増殖させる疎外された労働を義務づけることはできず、労働の疎外に基づく、現実には疎外された労働である、未払給与である、搾取された分である前借金、住宅ローンは、返済不要の給与で、返済をしなくとも、労働者は、労働者の経済、生活に応じていかなる過程においても退職することができると解される。

資本の許可がなければ退職できない、引き継ぎが済まなければ退職ができないとする契約は生産関係上結ぶことができないと解される。 有期契約であっても、資本の利益が優先されて退職が制限されると解することはできないであろう。