裁判例は、整理解雇の要件として①人員削減の必要性、②配置転換を行うこと、雇用の維持を図ること、③被解雇者選定が客観的、合理的基準に基づくものであること)、④労働者との協議、説明(東京高判昭和54年10月29日、東京地判平成12年1月21日を挙げる。

使用者の解雇権の行使もそれが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上、相当として是認することができない場合には権利の濫用として無効であるとする(最判昭和50年4月25日)。

右最高裁判決によると、社会通念という観念、理論に適っていれば、生産関係上の義務を履行しない整理解雇が実体あるものとして社会に認められることに成功することになるという問題がある。紙幣発行権を有し現金不足になりえない国際金融資本と異なり、労働者は、賃金のみで搾取の土台の再生産を余儀なくされている。

解雇回避は努力義務ではなく、生産関係上の義務である。解雇回避の方法として、使用人たる役員報酬の削減、使用人賞与の停止、昇給の停止、新規採用の停止、希望退職者の募集、配転、出向といった使用人の負担を課すものばかりで、株主配当をしないことが挙げられておらず、株主配当をしないことが要件とされていないという問題がある。

現実には国際金融資本となる信託又は利子配当である保険商品の購入、架空資本の購入をやめるということが要件に挙げられていないという問題がある。経済土台のない投融資を受けないということが要件にされていないのである。

労働者は、資本家との生産関係に基づき、労働力を提供しているのであり、そこに意思はなく、法人の資本家の現金留保が蓄積をできなかったことについて、賃金を返上して賠償する義務はない。

成長力の高い産業への移転を円滑にするという方便により、法人の資本家が再就職支援金という名目の金銭を支払って解決するという解雇規制の緩和が、国際金融資本ロックフェラーの傀儡たる安部晋三名義、御用学者たる竹中平蔵名義で、国際金融資本から提案されている。

国際金融資本側は、黒いことに悪の属性を付与し、ブラック企業と呼ばれる法人からの労働者の解放を逃げ口上に用いるが、人員が削減されれば、残業の過程が延長し、現実の労働が疎外され、生産手段、資本に転嫁され、労働力商品と交換される現金に付与される価値属性を絞り、資本家の現金留保が蓄積される。休暇を与える、現実の労働について賃金を支払うという生産関係上の義務を履行しない労働条件に問題がある法人の資本家に利益を与えるのである。労働者の生活の土台よりも、法人を存続させて法人の資本家の現金留保が優先されているのである。

紙幣発行権に基づく実体関係に基づく現金留保義務により現金留保を蓄積せざるを得ないのであるが、国際金融資本は、無産階級に投融資してもリターンが得られないから、疎外した労働、絞られた労働力商品と現金商品の交換による賃金を疎外して、現実の労働に満たない実体のない支援金名目の現金だけ支払って、それにより蓄積された留保銀金を、リターンの大きい戦争、原子力、石油に投融資するのである。

アベノミクスと国際金融資本所有のメディアから呼ばれている安部晋三名義の経済政策は、国際金融資本と日本法人の資本家、日銀の資本関係、内国大資本を通じた国際金融資本と国家の資本関係、国際金融資本と政治家との生産関係から、国際金融資本の紙幣発行量増加を行って原子力、戦争、石油に投融資することを容認することを余儀なくさせられたものである。労働者に利益は分配されないのである。