[事実関係]
鋳鋼品等の製造販売を業とする株式会社である原告は、訴外N株式会社からの借入金利息6,549万4,817円を損金算入し、法人税も確定申告をしたところ、税務署長は、更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を行った。
裁判所は、「法人税法は、当該事業年度の損金の額に算入すべき金額について、『販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で、当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く)の額』と定めており(同法22条3号)、右債務の確定ありといいうるためには、益金について採られている権利確定主義との対応上からも、当該事業年度終了に日までに、①当該費用に係る債務が成立していること、②当該債務に基づいて具体的給付をなすべき事実が発生していること、③その金額を合理的に算定することができるものであることの3要件が充たされていなければならないと解される。
ところで、消費貸借契約における利息は、元本利用の対価であり、債務者は元本を受け取った日からこれを利用しうるのであるから、利率の定めのある金銭消費貸借契約に基づいて元本受入れの事実が生ずれば、元本利用の期間に応じて利息は発生するのであり、現実にはなお未収、未払の状態にあったとしても、その期間に係る各事業年度の益金、損金の額に算入されるというべきである。ちなみに、法人税法2-1-24が、貸付金利子について、利子の帰属時期について、利子の計算期日に応じ、当該事業年度に係る金額を当該益金の額に算入しているのは、前記趣旨を明らかにしたものといいうる。
本件借入金に係る本件計算期間の利子債務は、右期間中既に確定していたというべきであるから、各事業年度に係る利息は、同年度の損金の額に含まれることになる」とした(秋田地判昭和61年5月23日)。
[解説]
金融資本が、現金を生産手段にして貸与し、労働を疎外して、疎外した労働を現金を含む架空資本、金銭債権に転嫁して現金留保を蓄積する、また、産業資本に貸与して、産業資本が投融資を受けた現金を源泉に、生産手段、労働力商品を購入し、労働を疎外し、疎外した労働を現金商品との交換手段、生産手段たる資産に転嫁して現金留保を蓄積し、産業資本の労働力商品に付与された価値属性を疎外し、産業資本への現金を含む架空資本、金銭債権に転嫁し、現金留保を蓄積している。
利息は、現金を所有しているだけで、経済過程、生活過程、社会過程に属性を付与した時間が経過したことをもって、自然発生するものではない。
国際金融資本は、資本関係を土台にした紙幣発行権の取得という既存の実体関係に基づく現金留保義務、回収義務を土台に利子配当を、経済過程に時間という属性を付与して徴収する。国際金融資本に所有された法人の資本家は、資本関係を土台に、現金留保を蓄積できたか否かに関わらず、債務者の現実の労働、現金留保を疎外して経済実体に関係なく徴収し、投融資を受けた側は、経済過程に付与された時間という属性に応じて、利子配当を支払わざるを得ない。