[事実関係]
硬貨計算機、硬貨計算機、硬貨包装機、紙幣計算機等の販売、保守を業とする原告が、古品の下取りによる損失を損金に算入して法人税の確定申告を行ったところ、税務署長は更正処分を行った。
裁判所は、
「原告は、このような業態においては下取り競争が激しく、販売時にすでに将来の下取り損を見込まなければならないと主張するところ、原告のいう下取り損とは何を意味するのか必ずしも明らかではないが、一般に新品の販売に当たり古品の下取りをしたとき、法人税法上売主において当該下取品につき損失を生ずるのは、同法33条2項の場合を別とすれば、売主が下取り品を下取り価額以下で転売等の処分をする場合であって、それ以前の段階で損失が生ずることはない。
またもし、売主が中古品の適正価額を超える下取りをすることとした場合の適正価額と下取り価額との差額を下取り損と呼んでいるのであれば、そろ下取りは新品を販売する目的で、かつ、新品の販売と一体となってなされた行為であるから、、その経済的実質は新品の値引きと解するのが相当である。
したがって、原告主張の下取り損はいずれにせよ将来生ずるであろう損失を見越したものというべく、かかる見越費用について、原告がどのような経理処理をしようとも、法人税法22条3項にいう損金算入の定めがない以上、これをその損失の事実の発生する以前において損金に算入することはできない」とした(大阪地判昭和48年8月27日)。
[解説]
現金、資産には価値属性は備わっていない。現金は労働を疎外して交換される商品である。現金は価値測定の尺度ではない。資産は所有しているだけで現金留保を産み出したり、損失したりするのではない。
新品の売主は、買主が金融資本に課せられた現金留保義務、買主との経済関係上、買主との間で、労働疎外済みの古品を労働力商品に支払を転嫁して規定された金額で購入せざるを得ない。
既に、国際金融資本の資本関係、所有関係を土台にした実体関係に基づく現金留保義務、回収義務から、現金を生産手段にして、労働を疎外し、疎外した労働を資本に転嫁し、現金商品と交換せざるを得なくさせられている。
購入した古品の支払義務、引渡義務のある現金商品に付与された価値属性は、購入段階における市場価額である。
販売実体と購買実体の間で現実に交換された取引からは収益、現金留保が実現されているのであって、高額買入分から収益、現金留保が実現してそこから現金が贈与されているとすることは現実の経済関係から乖離している。
市場価額を超えて弁済した現金に付与された価値属性は、資本関係のみに基づく、現金商品の提供であれば配当、既存の経済関係があれば、寄附金、交際費、当該買入れに土台となる経済実体があれば、仕入ということとなる。
新品の販売を目的とすることという目的は実体の観念であるから、問題提起、事実確定の土台とはならない。新品も、国際金融が所有する資本関係を土台とした実体関係に基づいた現金留保、回収義務から、既に労働が疎外されて、疎外された労働を新品に転嫁させて、現金商品と交換する義務がある。
市場価額に満たない商品の交換は無償譲渡で、無償譲渡により収益、現金留保が実現してその現金留保から、現金を贈与したという主張は、有償部分から収益、現金留保が実現し、無償部分からも収益、現金留保が実現することとなり、現実の経済関係と乖離する。
新品の販売実体が義務の弁済により得た現金に交換段階の市場価額に満たない価値属性が付与された場合、市場価額に満たない部分については、新品に生産手段にして労働を疎外して、疎外した労働を資本に転嫁できないことが確定して値引が実現する。
第三者と現金商品と古品を金融資本との資本関係から課せられた現金留保義務から交換せざるを得ないのであれば、評価損は交換が未だされておらず、実体がないから計上できない。