[事実関係]

請求人は、ポンプのガスシールが不調であり、配管の改造及びメカニカルシールによるガスシール方式の変更を行い、その配管改造及び現場工事を行い、同社へ本件漏洩対策工事に係る費用2,900,000円を平成11年3月期の法人税確定申告において修繕費として経理処理した。

これについて税務署長は資本的支出であるとして更正処分を行った。

審判所は、

「本件漏洩対策工事について、請求人の提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、本件プロパンローリ出荷ポンプは、操業を開始し1年を経過するころからガス漏れが発生し、過去2回にわたりガス洩れ防止工事をしたが改善されなかったため、メーカーと協議の上、ガス漏れを防止し、液化したプロパンガスを安全に出荷するために本件漏洩対策工事を実施したものと認められる。

確かに、原処分庁が主張するように本件漏洩対策工事は、調達事前合議伺書に「改造」という語句が記載され、また、ガス抜き配管を新設している。しかしながら、上記のとおり本件漏洩対策工事は、過去2回の修繕工事でも改善されなかったために行われたガス漏れ防止工事であり、本件漏洩対策工事において、原処分庁が主張するように物理的に付加した部分があるとしても、当該物理的な付加した部分があるとしても、当該物理的な付加は当該資産の価値を高め、耐久性を増すためというより、液化したプロパンガスを安全に出荷するために行った補修であり、出荷ポンプとしての本来の機能を回復するためのものであるから、本件漏洩工事は修繕費に該当し、請求人の経理処理は正当である。

したがって、本件漏洩対策工事を資本的支出とした原処分は、事実の認定を誤ったものであって、法人税更正処分はその全部を取り消すべきである」とした(平成14年8月21日)。

[解説]

固定資産には本来の機能は備わっていない。既存の資産も付加した資産も、価値属性は備わっておらず、設置し、所有したというだけでは現金留保を産まない。生産手段にして貸与して、労働を疎外して、疎外した労働を固定資産に転嫁して現金留保される。

現金留保の実現の原因に、物理を持ち出すことは、宗教に依拠することであり、修繕の原因、現金留保の原因事実関係、過程の全体化を疎外することである。償却にしろ、商品の原価、労働力商品の原価にしろ、労働の評価に算入するにしろ、販売管理費に計上するにしろ、生産手段にして労働を疎外して疎外した労働を固定資本に転嫁しない限りは計上できないから、原価の場合は更に生産した物を出荷し現金商品と交換し価値属性を現金に付与しなければ計上できないから、実体のない観念たる目的に基づくのではなく、現実の生産手段にして貸与し、労働を疎外し、疎外した労働を固定資本に転嫁した過程に基づいて、費用計上が事実確定する。

既存の資産を設置し、生産手段にして貸与し、労働を疎外し、疎外した労働を固定資本に転嫁するという過程による現金留保と、資産を付加した後に、付加した後の資産を生産手段にして貸与し、労働を疎外し、疎外した労働を固定資本に転嫁した過程による現金留保が変わらなければ、修繕費ということになる。

当初設置し、生産手段にし、労働を疎外し、疎外した労働を固定資産に転嫁するという過程があって、法人の資本家は現金留保するのであるが、現金留保の過程が取れなかったという事実が現実にあって、現実には、資本関係から課せられた現金留保義務から、生産関係上、経済関係上の義務、生存義務から、金銭を投下して、労働を疎外される労働力商品と現金商品を交換して当初の現金留保過程を回復せざるを得なかったものが修繕費ということになる。</p>