[事実関係]
民法上の組合たる投資事業組合の非業務執行組合員たる原告法人は、平成17年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税に係る確定申告において、新株予約権に係る収益を計上せず、その後、同収益を計上して修正申告をしとことにより、処分行政庁から平成19年2月26日付で過少申告加算税の賦課決定を受けたが、確定申告において同収益が平成17年事業年度の益金に当たるものとして税額の基礎とされていなかったことについては、国税通則法65条4項の正当な理由があると主張して訴訟を提起した。
裁判所は、
「事実関係によれば、投資事業組合は、平成17年に本件新株予約件の発行価額の総額を支払って、全組合員の出資口数に相当する本件新株予約件を取得したところ、各組合員は、本件組合の取得した本件新株予約権について、その出資口数に応じて按分した持分を有することになるものである。
そして、本件組合は、本件新株予約権を取得すると同時に、これを各組合員の個別財産として管理していたのであり、本件組合の第1期事業年度に係る収支決算書には、本件新株予約権を有利な発行価額で取得したことによる収益は計上されていなかったものである。
こうした事情の下においては、本件組合の各組合員は、本件組合が本件新株予約権を取得すると同時に、その出資口数に相当する本件新株予約権を取得したものと評価するのが相当である。なお、投資事業組合契約によれば、組合員は、本件組合に対し、平成17年9月30日までに1口につき、円を払い込むものと定められており、原告がこの払込義務を履行したのは平成18年3月15日以降であるが、上記のとおり、投資事業組合は、払込義務の履行、未履行にかかわらず、本件新株予約権を原告の個別財産として管理していたのであるから、払込義務の未履行の事実は原告が本件新株予約権を取得した時期に何ら影響を与えるものではないというべきである。
したがって原告は、平成17年にその出資口数に相当する本件新株予約権を取得し、その時点で、本件新株発行予約権の時価とその発行価額の差額について、受贈益を得たものということができる。
本件新株予約権の価値は、平成17年8月15日付の報告書により算定されていたのであるから、原告が本件組合からその通知を受けたのが平成18年9月になってからであったとしても、原告において平成17年事業年度の法人税の確定申告期限(平成18年2月末日)までにこの価額を調査することは可能であったものと認められる。
上記のことから、原告が本件確定申告において本件新株発行権に係る収益を平成17年事業年度の益金に当たるものとして税額の計算の基礎としないことについては、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合に当たるものということはできないから、国税通則法65条4項の正当な理由があるものとは認められない」とした(名古屋地判平成21年9月9日)。
[解説]
資本家、本件でいうと投資組合の資本家が現金をB法人の架空資本に投下したことを源泉に、投下現金を生産手段にして、労働を疎外し、労働の疎外分を新株予約権に転嫁し、現金商品と交換し、現金商品に価値属性を付与することにより、実体あるものと認めさせた、新株発行権の価値属性を証券取引所、紙幣発行権を所有する国際金融資本が既存の資本関係、所有関係、資本関係、所有関係を土台とした実体関係に基づく現金回収義務から規定した価値属性に改定した現金留保が、配当の支払義務である。
交換により引き渡した新株発行権の国際金融資本が付与した価値属性の内の疎外分すなわち無償部分から所有しているだけで収益が実現したのではない。
全ての現金留保は、自然や偶然に発生することはないのである。無償部分から収益が実現し、有償部分からも収益が実現するとすることは、現実の経済実体から乖離する。
組合員が信託した財産は、担保名目でとられたものであり、現実には組合の資本家の所有である。現金留保の蓄積の源泉となった現金の投下の段階は、現金商品と交換できる資産の投下があった段階である。
配当名目で支払う義務である現金に付与され実体課された価値属性を組合員が知っていたかは実体のない観念である。収益計上、納税するしないに納税者の意思はないから、本件収益税額の基礎としないことが納税者の責めに帰するか否かという問題は成立しない。
客観という観念や知っていたか否かという観念に基づくことや国際金融資本が資本関係、それを土台とした現金回収義務から規定された加算税の趣旨と交渉することは、現実の経済実体から乖離する。
通知の発行は、国際金融資本の資本関係を土台とする現金回収義務、国際金融資本に課せられた現金留保義務から、現実の経済実体に関係なく発行される。経済関係、実体関係が確定していたか否かによって所得が規定される。
B法人からの投資組合への配当、投資組合から組合員への配当は、現実には、税引前の現金留保から支払われ、労働力商品にその支払が転嫁されているから、投資組合と組合員に課税しても重複課税とはならない。