着ぐるみの製作代については、税務上どのように取扱われることになるかという問題がある。固定資本は、現金商品と交換しなくとも、労働を疎外して、固定資本に転嫁した段階で費用となるものである。固定資本が時間という属性により費用となるというのは、資本関係を土台にした現金留保義務に基づく、方便を法律を媒介に社会に認めさせたものである。着ぐるみには広告宣伝用という価値属性は備わっていないから、看板、広告器具の「その他のもの」の5年を耐用年数とすることは実体を欠いているのではないか。着ぐるみの使用目的というのは実体のない観念であるから、使用目的によって耐用年数を規定することはできないであろう。現実の使用を見れば、身体に身につけて労働し、労働を疎外され、固定資本に転嫁されるということから、法律上は、衣装、かつら、小道具の2年を耐用年数にして償却することを余儀なくされるのではないかと思われる。