原告が行った相続税申告につき、取引相場のないA社株式が株式保有特定会社の株式か否かを巡る訴訟があった。
裁判所は、「財産評価基本通達189(2)の規定は、平成2年改正当時には合理性を有していたものの、平成9年独占禁止法の改正により持株会社が一部容認されるなど、会社の株式保有に関する状況は大きく変化しており、また、平成15年度の法人企業統計を基に算定された営利法人の株式保有割合の数値は16.31%であり、判定基準と比して格段に低いとまではいえないなど、株式保有割合が25%以上である評価会社を一律に株式保有特定会社と定める判定基準が相続開始時(平成16年)においてもなお合理性を有していたものとはいえない。以上によれば、株式保有割合が25.9%にとどまるA社について判定基準をそのまま適用して株式保有特定会社に該当するものとすることはできないから、企業の規模や事業の実態等を総合考慮して判断するのが相当である。A社の事業の実態等は上場企業に匹敵するものであり、株式の評価に関しては、租税回避行為の弊害を危惧しなければならないような事情はうかがわれない。したがって、A社は株式保有特定会社会社に該当するとは認められないから、その株式は原則的評価方式である類似業種比準方式によるべきである」とする(東京高判平成25年2月25日)。
評価、認定は、実体のない属性付与により実体を疎外すること、事実関係の否定して事実確定することである。金融資本家が、架空資本の総資産に占める割合が50%未満までの持株法人でもある大法人と規定された産業法人と関係法人を従前よりも低い価額で買収できる。金融資本家は、大法人と規定された産業法人の架空資本を低い価額で事業承継させ、存続させることにより、当該産業法人に投融資を受けることを余儀なくさせることができる。当該判決の後、評価法人の総資産の相続税評価額に占める株式の相続税評価額が50%以上である場合に株式保有特定会社とする通達改定があった。通達改定は、国際金融資本価が資本関係を土台とした現金留保義務により、既存の中央銀行所有の民間銀行の所有過程、所有関係による現金回収義務から、生産関係上の義務を改定したものである。裁判所は、現象にすぎない財務諸表から他の法人との比較をしており、労働の疎外による現金留保、生産関係、資本関係上、経済関係上の事実関係を全体化することなく、租税回避の弊害の危惧という実体のない属性に基づいて判決をしている。