[事実関係]
税務署長は、原告が損金に算入した取締役への臨時給与の支払について、役員賞与と認定した事案で、
裁判所は、「法人税法が法人税の課税標準を規定する概念考えている総益金が営業活動又は投資活動から得られた金額から資本の払込を控除したものを意味し、総損金が商品の価値に転化されるもの又は製造活動若しくは販売活動を円滑に遂行するために必要な支出換言すれば当該事業遂行に通常かつ必要な費用を意味すると解すべきこと、従って、会社が利益をあげた功労に酬いるため利益の一部から役員に支給する賞与が右にいう損金に含まれないが、役員の委任事務処理の対価として支給する報酬が損金に計上されることは税務署長と同じ見解である。本件臨時報酬がその慣例に従って支給され、毎月又は一回に支給した金額との合計額が株主総会の決議によって定められた報酬額の範囲内であり、各営業年度末においては本件臨時報酬とは別に役員賞与が各役員に支給されているのである。そうしてみると他に右臨時役員報酬を役員賞与であると認めるべき特段の事情のあることを認めるに足る証拠のない本件にあっては、これを事業遂行上通常かつ必要な費用として損金に計上することができるものと言わなければならない」とした(東京地判昭和33年9月25日)。
[解説]
報酬の支払は、通常性という、労働力商品と現金に備わっていない属性の問題ではなく、労働の実体があれば、労働の実体と労働が疎外されてきたこと、生産関係上の義務の問題である。