<p>裁判例は、会社の権利能力は定款所定の目的により制限され、目的の範囲内も行為は会社に対しては無効であるとする。

同判決は取引の安全の観点から、目的の範囲は広く解されるとしており、定款所定の目的遂行上必要であったかどうかをもってこれを決すべきではなく、行為の客観的な性質に即し、抽象的に判定され、一般に各種寄附についても会社の目的の範囲内と解し、寄附の金額が会社の規模、経営実績、その他社会的経済的地位及び寄附の相手方等から判断して不相当と判断した場合には寄附を行った代表取締役につき善管注意義務違反に基づく責任が問題となるとする(最判昭和45年6月24日)。

定款にある法律関係をその基礎となる経済実体を全体化することではなく、実体のない目的から、客観という観念、行為のそなわっていない属性によって、当該行為が定款上の義務か否かを断じるというのである。法人の実体関係は、定款所定の義務に制限される。

定款所定の義務以外の行為は実体があるものと認めさせることができないとすると、既存の資本関係、経済関係、経済過程から見て、国際金融資本家の利益とならないから、定款所定の以外の行為も義務に含めて解されているのである。

寄附金名目の金員の支出が配当の原資となる法人の現金留保を減少させる行為であれば、法人の所有しているのは、資本であって、役員ではないにも関わらず、役員に賠償義務が課せられるのである。</p>