[事実関係]

 原告法人は、昭和16年6月20日訴外S法人の株主より、同法人の全株式9,960株を金448万2,000円で買収した。同年8月1日にr両法人の代表者は合併契約書を作成し、同月16日に各々臨時株主総会を開催し、同月16日に合併契約に基づいて原告法人は、同日Sを吸収合併して同年12月にその登記手続をした。

税務署長は、同族会社である原告が行った上記6月20日の株式買収行為は、清算所得税(法人税)逋脱の目的があると認められものに相当すると認め、旧法人税法28条(同族会社の行為計算の否認の規定)、17条3項(同族会社の定義規定)を適用してかかる6月20日の株式買収行為を税法上否認し、当時S株式会社の株主が支払を受けた株式買収代金448万円を後に行われた合併の合併交付金と認定し、所得金額を計算することとして、旧法人税法6条2項、旧営業税法の規定に則り、課税決定をした。</p>

 第一審は、

「右同族会社の行為計算否認の規定は勿論同族会社を非同族会社よりも不利益に取扱うためのものではなく、同族会社は税金逋脱の目的で非同族会社では通常ない得ないような行為計算たとえば株主が社員に会社の資産を廉価で売却するようなことをする虞があるので、かかる場合にその行為計算を否認して、非同族会社が通常なすであろうような行為計算に引直して課税するためのものであるが、吸収合併前に被合併会社の全株式を買収することは必ずしも同族会社の全株式を買収することは必ずしも同族会社にして始めてなしうるような行為、すなわち、純経済上より見て不合理な行為ではなく、かかる行為を選択する可能性は同族会社であると否とにより少しも差異のないことは明白であるから、かかる行為は旧法人税法第28條の対象たり得ないものと解するのが相当である」とする。</p>

 控訴審は、

「徴税官庁が行為計算否認の規定を発動しうる場合は、同族会社の行為計算の行為計算にして法人税逋脱の目的ありと認められるものでなければならぬが、本件一連の行為からして法人税逋脱の目的ありと認められるためには、若し税金逋脱の目的抜きにして見た場合、純経済人の選ぶ行為形態として不合理なものであると認められる場合でなければならない。

しかるに同族会社の場合であると否とにかかわらず、純経済人としては概して損得の打算に深慮を払い、努めて課税の対象とならない行為形態を選ぶことは当然のことであって、これを不合理と目することはできないから、本件一連の行為を以て直ちに租税逋脱の目的ありと認められる場合であるとは断定し難い。この点に関する原告法等の当審における主張は採用し難い」とした(東京高判昭和26年12月20日)。</p>

 最高裁は、

「所論の点に関する原判示はいささか明瞭を欠き、また無用の措辞がないでもないが、要するに、本件において当事者間に争いのない本件株式の買収、会社の合併、及び増資なる一連行為からしては直ちに所論税金逋脱の目的があるものとは認めがたいのみならず、本件買収代金をもって合併交付金と認定すべき証拠上の根拠も認められないから、本件株式の買収は所論法条に基づくいわゆる否認の対象となるべき行為ではなかった」とした(最判昭和33年5月29日)。</p>

[解説]

 所得税法上又は法人税法上の法人は、資本関係、経済関係に基づき行動せざるを得ず、意思はない。資本家からの現金を投下し、生産手段を購入し、それを労働力商品に貸与し、労働を疎外し現金を留保し、疎外した労働分を架空資本、固定資本、商品に転嫁することが資本関係から課せられた現金留保義務から余儀なくされ、架空資本、固定資本、商品は現金商品と交換され、取得した現金に価値属性が込められて現金留保が実現する。

この現金の投下から現金留保の実現までの過程を採用し、経済行為ををしたか否かに基づいて、前記の現金留保過程採用せずに資本家が現金留保をしていないかに基づいて、同族法人の租税回避行為か否かが確定される。

資本家が現金留保していれば留保金に課税が行われる。日本の非同族法人とされている法人も現金投下の源泉に遡れば、紙幣発行件を有する国際金融資本家が投融資しているから、同族法人である。

本件の場合、現実の資本関係、経済過程、前述の現金投下から現金留保までの過程に鑑みれば、合併交付金を支払わずに架空資本、それと交換した資産に低い価値属性を付与して株式交付金を支払わないこともあるが、合併が実体あるものとして社会に認めさせることに成功させることにより、配当である交付金は合併交付金たる配当と認めさせることに成功する。

現金を、Sの発行させられた既に労働を疎外済みの架空資本に投下し、S所有の労働力商品の労働を疎外できるから、資本関係は成立し株式交付金は配当ということになる。

同族会社の行為計算否認規定は、国際金融資本家の資本関係、現金留保回収義務から、経済実体が資本関係から課された現金留保義務、労働力再生産、投融資先再生産義務を土台とした生産関係を土台に規定し、徴収不足による現金留保に課税している。

課税は、労働者の現金留保を疎外して、法人の資本家を通じ、国際金融資本家に現金留保を集中させる過程であることに鑑みれば、国際金融資本家が資本関係、現金留保義務から規定した法の、租税逋脱の目的で行う虞のある行為の否認という実体のない趣旨と交渉し、人が意思に基づいて経済活動を行うかのような、自然に基づいて行動するかのような宗教学、通常という属性付与、当然という宗教学、属性付与、法則や現象すなわち、理論に適っているかどうかということ、合理的か否かが経済目的という実体のない観念たる目的に基づいている純経済人基準説は、現実の資本関係、経済実体に遡って事実関係を全体化せず、現実の資本関係、経済実体、それを土台とした現金留保に乖離した実体のない課税が行われるのであり、純経済人基準説のような解釈を適用することができないとする義務がある。

課税の現実の過程を見れば、租税回避の意図は、実体がない観念であるから同族法人の行為計算の否認の法を包摂する土台としない義務がある。純経済人規準説は租税回避の意図が法の適用の土台とならないとはしていながらも、経済目的、動機、法の趣旨という実体のない観念に依拠しているのである。</p>