[事実関係]

 平成4年4月1日に解散し清算法人となった原告法人が行った平成5年3月31日の事業年度の法人税の申告について、税務調査が行われ、平成3年3月期、平成4年3月期は仕入否認、5年3月期たる清算予納申告については雑費否認が指摘され、清算予納修正申告に応じた。

税務署長はこれについて税務署長は過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定を行った。

 裁判所は、法人税法につき、

「同法は、清算中の法人は、漸次その財産を解体していくところ、その残余財産が確定していくところ、その残余財産が確定するまでには比較的長時間を要する場合があり、その間、清算中の法人には、利子、地代等の各事業年度ごとに発生する所得や、不動産売却益等の清算の途中で生じる所得があり、これらの清算中の所得は、漸次実現していくのに対し、

清算事務が長引くことによって清算所得に対する課税が著しく遅れることに対処する必要性とともに、納税の平準化を図り、さらに、解散した法人が再度継続した場合には、清算期間の各事業年度の所得に対する予納額を、継続した法人の当該期間に係る各事業年度の所得に対する法人税額とみなすことによって、遡って徴収することの困難や賦課決定処分の期間制限(国税通則法70条、71条)によって課税に空白が生ずるのを防ぐ趣旨から、

内国法人等に対しては、その清算中の各事業年度の所得とみなして計算した当該事業年度の課税標準たる所得の金額及び法人税額等を記載した申告書を、納税地の所轄税務署長に提出しなければならないと規定し、当該申告書の提出期限までに、当該金額に相当する法人税を納付しなければならないと規定しているところ、

かかる清算予納申告の制度趣旨及び法条の形式によれば、清算中の内国普通法人等は、各清算事業年度の所得に係る清算予納申告書の提出義務及び、右申告書記載の清算中の予納額の納付義務を負うものと解するのが相当である。

清算予納申告書は、期限内申告書に該当するものと解されるところ、清算予納申告につき、他の申告納税方式と別異に取り扱うべきとする法規定も別段存しないことにも照らせば、清算予納申告の場合も、加算税の対象となるものと解される(山口地判平成9年8月26日)。

[解説]

 国際金融資本家との資本関係に基づいて、清算中においても租税は漏れなく現金を回収し、国際金融資本家への現金留保集中の名目となっているということである。 国際金融資本家の現金回収義務、現金留保集中過程を土台とした、労働者の現金留保を疎外して立法化された法律の方便たる立法趣旨と交渉して司法は法を包摂している。