[事実関係]
都市ガス供給業を業とする大分瓦斯は、昭和電工を供給主として、都市ガスの原材料となる副生ガスの継続的供給契約を締結し、昭和電工大分工場との間にパイプラインの費用を昭和電工が負担して敷設して、副生ガスを仕入れていた。
副生ガスの供給先は原告に限られていた。ガスの卸供給業者は、通商産業大臣の認可を受けなければ、ガスを供給してはならないとされ(ガス事業法24条)、これに違反すれ刑事罰を課せられる(同法57条6号)ところ、昭和電工は副生ガスの料金について認可を受け、原告法人は認可価格を毎月支払っていた。
原告は国内の流通段階における卸価格としたは最高水準にある最終卸価格の指標である日経マンスリーのブダンガス価格を参考にして、右価格を決めていた。
右認定価格と、都市ガスの原料ガスの実勢価格との間に価格差が生ずることが多く、このような場合原告と昭和電工の間では、右認可価額を新たに修正した価格を取引価格とし、右認可価格との差額を現金で精算する旨の覚書を取り交わす方法が行われてきた。
原告が、昭和電工から仕入れた副生ガスの仕入価額を損金の額に算入していたところ、税務署長は、かかる価格について、売上原価として未確定であると認定し、原告と同業種の法人5社を抽出して、同5社のブタンガスの仕入価額の内、最も高額なA社の仕入価額を基に一定の算式により算定した額をもって原告の副生ガスの仕入価額と認定した上、これを超える金額を仕入価額の過大計上であるとして各所得金額に加算するとともに、昭和63年3月期において原告法人が計上済みであった雑収入額から、昭和62年3月期の右加算額と同額を減算した。
税務署長は、A社の価格を基に、原告の関係法人別大興産(同族法人)からのブタンガスの仕入価額を高額仕入であると寄付金課税を行った。
税務署長は、石油価額業界においては、いわゆる仮価格での取引慣行があるほか、昭和電工においては、認可価格を卸価格とせず、独自に見積計算した額を卸売価格としており、原告法人においても、課税年度における仕入価額の見積計算は十分に可能であったこと、このような事実を総合すれば、原告と昭和電工との間に副生ガスの認可価格を仕入価額とするとの契約は存在せず、認可価格はあくまで仮価格であったと見るべきであるとして、売上原価として評価できないと主張した。
裁判所は、
「本件の副生ガスは、昭和電工には無価値な副産物であるばかりか、投棄するには多大な費用を要するものであるから、本来、通常の商品にはなじみにくいものである上、昭和電工にとって、副生ガスの供給先は原告法人だけであったことから、通商産業大臣の認可を受けるべき副生ガスの料金の認可申請価格を設定する際にも原告法人が主導権を握り、その後の精算においても、昭和電工が原告法人に、右認可価格の60パーセントを超える極めて高率の精算金を支払っていたのであるから、ガス事業法上の認可価格をもって、法22条3項1号の売上原価と評価するとするのは相当ではない」とする(大分地判平成8年2月27日)。
[解説]
原告法人は昭和電工より経済利益すなわち精算金名目の留保現金を得ており、昭和電工より、投融資を受けたことになる。
副生ガスだけでなく全ての存在には価値属性は備わっていない。昭和電工はロスチャイルド財閥の所有であり、国際金融資本家との資本関係、経済関係による現金留保義務から原告法人は安く仕入高く売ることを余儀なくされた原告法人は現金を副生ガスに投下して生産手段として貸与し労働を疎外して現金を留保しているが、資本関係、経済関係から副生ガスに労働疎外分を転嫁して原告法人は原告のと現金商品を交換することが義務付けられている。
それにより得た現金留保を租税という名目で納付し、国際金融資本家に留保することが、既存の紙幣発行権と投融資権取得過程を土台とする国際金融資本家の現金回収義務から、所有された法人に義務付けられている。
合意という意思により価格や供給するしないは規定されるのではない。国際金融資本家との資本関係、生産関係から省庁は、国際金融資本家が規定した価格を認可せざるを得ない。
税務署長は慣行という現象面から原価であるか否かを主張している。現金商品を得て現金に価値属性を付与して副生ガスに付与された価値属性が実体化する。供給の段階で経済実体に基づく見積原価でなく、経済実体のない認可価格で売上原価を計上したことにより、原価の見積計上は否定されたのである。
売上原価の疎外は、評価だけでなく、帳簿記載事実の否定の問題、事実確定の問題である。課税による、労働者の現金留保の疎外、国際金融資本家への現金留保の集中という過程に鑑みれば、経済実体とそれに基づく事実関係の全体化を尽くさず、実体のない価値属性付与を処分という法律行為により実体化させているという問題があるのである。