「事実関係]
電気器具及び無線通信機部品製造販売を業とするとした合資会社は、同法人の無限責任社員とされているA及び同法人の代表者Kらが設立した株式会社Bに対する貸付金の一部を債権放棄し、これを貸倒損失に計上して法人税の確定申告を行った。
税務署長は、本件債権放棄は貸倒損失には該当せず、寄付金に該当するとして更正処分を行った上、過少申告加算税を賦課した。
裁判所は、
「B社は、合資会社の無限責任社員であるA及びKの両名において84%の出資をして設立され、X社の事業を引き継いだものであり、A及びKがBの代表取締役及び取締役にも就任しているから、X社とBとの間には、取引関係、人的関係、資金関係等において密接な事業関係性が存するものといえるから、Bは法人税基本通達にいう子会社等に該当するものと認められる。
本件債権放棄に至る経緯は、Bは債務超過が継続し、経営内容が悪化する中でD電工に支援を依頼し、C電工の支援を受けながら合理化計画を検討実施する等してきたこと、それでも債務超過状態は一向に解消されなかったことから、主要取引先であるC電工や主要銀行であるD銀行からBのグループ会社である合資会社所有の土地を売却して債務の返済に充て、債務超過状態を解消すべきことが求められていたことが認められる。
これら事実からすれば、合資会社のグループ会社であるBの経営内容が悪化し、債務超過状態が継続する中で、合資会社がその所有する土地を売却して、同売却代金からBに2億2,000万円貸付け、BにおいてD銀行に対する債務の返済を行うのみならず、C電工やD銀行が求めている債務超過状態からの脱却あるいは借入債務の圧縮を実現し、Bが主要取引先であるC電工や主要銀行であるD銀行から引き続き支援が受けることができるようにするために、本件債権放棄を行う必要性が存したものというべきである。
Bの平成8年3月期末における貸借対照表上の債務超過額は1億9,443万3,963円であったから、合資会社が、Bの債務超過状態の解消のため、本件債権放棄を行ったことは、その額において相当性を有するものといえる。
本件債権放棄が会計士指導の下具体的に確定したことに照らせば、本件債権放棄による課税関係も検討した上で、本件債権放棄がB及び合資法人の節税対策上も有効であるとの判断がされていたものと推認される。
しかしながら、本件債権放棄の必要性及び相当性が認められ、合資法人が租税回避のために本件債権放棄を行ったものということはできず、本件債権放棄による合資会社やBの節税効果は法律によって許容される範囲内にとどまるものと解するのが相当である」とする(大阪地判平成15年10月15日)。
控訴審は、
「本件債務放棄の時点で、D銀行又はCがこれを合資会社に要求し、合資会社がこれに応じなければ、BとD銀行又はCとの取引が停止される等の事態に至り、Bが倒産するという状況があったとは認められないないから、その倒産を防止するためにやむを得ず行われたとは解されず、ほかに本件債権放棄を必要があると認めるに足りる証拠はない。そうすると、相当性の要件について判断するまでもなく、本件債権放棄は寄付金に該当し、損金算入の対象とはならない」とした(大阪高判平成17年2月18日)。
[解説]
現金は価値属性を備えていない。現金は価値測定の尺度ではない。現金は所有しているだけでは現金留保を産まない。
低利貸付の無償貸付部分からは現金留保は産まれない。現金を投下して、生産手段を貸付け、労働を疎外して現金留保を蓄積し、また、疎外した労働分を架空資本、固定資本に転嫁して現金商品と交換し、現金に価値属性を付与することで現金留保が蓄積される。無償部分と有償部分の双方に現金留保が実現し、実現した現金留保から現金が贈与されるのではない。
貸付債権は貸付元本プラス国際金融資本家が資本関係、現金留保義務、現金回収義務を土台に、所有する証券取引所、中央銀行を所有する民間銀行を使用して認めさせた利息の金額である。当該国際金融資本家所有の金融機関が規定した利息を加えた貸付債権の弁済を現金で受け、債権者債務者間の原契約に基づく利息を貸付元本に加えた貸付債権の金額との差額が資本関係のみによるものであるのか、経済関係をも土台にしているものなのかということである。
国際金融資本家は、当該国際金融資本家に現金留保を移転させた国際金融資本家との資本関係に既成の投融資権、紙幣発行権、預金制度を土台とした課せられた現金留保義務、現金回収義務、準備金制度から、投融資制限と併せ、親法人、親法人の資本家、子法人、関係法人又はその資本家に投融資をして、又は子法人、子法人の兄弟法人、その他資本家に孫法人に投融資をさせて、子法人、兄弟法人、その他資本家に投融資をして子法人、その兄弟法人、関係法人、孫法人の労働力商品の労働を疎外し現金留保を蓄積させ、譲渡し、譲渡先に投融資して現金留保を蓄積せざるを得ない。
国際金融資本家に所有された法人は資本関係から現金留保義務が課せられている。国際資本家との資本関係から投融資を受けざるを得ない。
全法人、法人の資本家に意思はないから人的関係は存在しない。子法人、関係法人、孫法人、兄弟法人は現金留保が不足したのではないから、国際金融資本家に現金留保を集中させることを義務とし、現金留保の集中過程にあるから、子法人、兄弟法人、関係法人とその資本家、親法人、親法人の資本家、紙幣発行権のある国際金融資本家に貸倒は実現しない。
裁判所がいう債権放棄が租税回避、節税のためという目的は実体のないものである。効果は目的のことである。節税効果という土台となる経済実体のないものを拠り所にして地裁は法解釈、法を包摂してしまっている。
国際金融資本家の現金留保義務を土台に、税務行政機関との生産関係により、所有法人への債権放棄をして現金留保させ、債権放棄を寄付金課税しないで現金留保することを、子法人支援という方便を使用して認めさせたのである。