[事実関係]

 被告Y2は、被告法人の代表取締役として、同会社の業務全般を統括しているものでありが、Y2は、被告法人の業務に関し、虚偽の法人税確定申告書を提出し、被告法人の正規の法人税額と申告税額の差額を免れたとして起訴されたところ、東京地裁において被告法人を罰金1億1,000万円に、Y2を懲役1年4月に処するとしたことから、被告法人側は控訴した。

 控訴審は、「Y2は、要するに、被告法人の3事業年度にわたって、毎月被告法人の役員であるAに40万円、同じくBに30万円が支払われていたところ、これは定時定額の支払であるから役員報酬として損金に算入されるべきであるのに、これをしないで役員賞与に当たるとして逋脱所得の一部と認定した原判決には判決に影響を及ぼすことがあるというのであるが、本件3事業年度を通じ右両名に対し、右各金員が毎月継続的に支払われていたことが認められる。法人税法35条4項、法人税基本通達9-2-13に照らし、右支給は、定期の給与に当たるから、役員賞与ではなく、役員報酬であるというべきである」とした(東京高判平成9年1月22日)。

[解説]

 資本家の投下した現金は、資本家が国際金融資本家に課せられた現金留保義務に基づいて使用され、生産関係のない役員と使用人の関係において使用されるのではない。
罰金は、現金留保を疎外し、国際金融資本家に留保現金を集中させる過程に鑑みれば、役員報酬か否かは定期定額になっているといった現象面、法則性のみによって規定されるのではない。
不正という属性付与、罰金名目による現金留保の疎外、国際金融資本家への留保現金の集中の過程から見れば、実体のない逋脱の意図の有無から現金が徴収されるのではなく、資本関係ではなく、労働の実体があって、資本関係により経済過程、労働過程に時間という属性が付与されて労働が疎外され、給料が支給されるまで資本家に貸し付けることを余儀なくされ、生産関係に基づいて支出されたのであれば、役員報酬ということになる。