有価証券は、株式、公社債などの種類に応じ各々に定める評価方法により評価する(評基通168~196)。

①上場株式(169~170)

②気配相場等のある株式(174)、登録銘柄及び店頭管理銘柄(174(1))、公開途上にある株式(174(2)、

③取引相場のない株式(178、180、185、188)

(1)大会社は原則として類似業種比準方式で評価される。

大会社は、次に掲げるものの内、いずれかに該当するものをいう。

(イ)従業員が100人以上である。

(ロ)従業員が50人を超え、且つ、総資産価額が10億円以上の会社(卸売業については、20億円以上の会社)。

(ハ)直前期末1年間の取引金額が20億円以上の会社(卸売業については、80億円以上の会社)。

選択により、純資産方式により評価することができる。

特例的評価方式として配当還元方式

(2)中会社は、類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式で評価される。

中会社は、次に掲げるものの内、いずれかに該当するものをいう。

(イ)従業員が100人未満である。

(ロ)総資産価額が卸売業が7,000万円以上、小売サービス業が4,000万円以上、卸売、小売サービス業以外が5,000万円以上で、いずれも従業員5人以下の会社を除く。

(ハ)直前期末の取引金額が卸売業が2億円以上80億円未満、小売サービス業が6,000万円以上20億円未満、卸売、小売サービス業以外は、8,000万円以上20億円未満であること。

特例により、配当還元方式で評価することができる。

(3)小会社

原則として純資産価額方式で評価される。

選択により、Lの割合を0.50とする類似業種比準価額方式と純資産価額方式との併用方式により評価することができる。

特例として配当還元方式で評価することができる。

直前期末における評価会社の総資産の帳簿価額(確定した決算における帳簿価額基準)の計算については、

①固定資産の減価償却累計額を間接法によって表示している場合には、各資産の帳簿価額の合計額から減価償却累計額を控除する。

②売掛金、受取手形、貸付金等に対する貸倒引当金は控除しない。

③前払費用、繰延資産、繰延税金資産が確定決算上資産として計上していれば、帳簿価額の合計額に含めて計算する。

④収用や特定の資産の買替え等の場合において、圧縮記帳引当金勘定に繰り入れた金額及び圧縮記帳積立金として積み立てた金額、並びに翌事業年度以降に代替資産等を取得する予定であることから特別勘定に繰り入れた金額は、帳簿価額の合計額から控除しない。(評基通178(1))。

評価明細書第4表類似業種比準価額等の計算明細書の「利益積立金額」欄には、別表五(一)の「差引翌期首現在利益金額」の金額を記載する。

第4表の1株当たりの券面額、直前期末の発行済株式数は、登記簿謄本により記載する。

同族株主のいる会社の株主が取得した株式については、次の(イ)又は(ロ)のいずれかに該当する場合には、特例的評価方式(配当還元方式)が適用され、このいずれにも該当しない場合には、原則的評価方法により評価する(評基通178、評基通188(1)(2))。

(イ)同族株主のいる会社の株主のうち、同族株主以外の株主が取得した株式

(ロ)中心的な同族株主のいる会社の株主のうち、中心的な同族株主以外の同族株主でその者の取得後の議決権の合計数がその会社の議決権総数の5%未満であり、且つ、課税時期において評価会社の役員(社長、理事長並びに法人税法施行令第71条第1項第1号及び第4号に掲げる者をいう)でない者及び課税時期の翌日から法定申告期限までの間に役員とならない者の取得した株式。

株式を異動させた後の筆頭株主のグループの持株割合、納税義務者の属する同族関係者グループの持株割合を基に原則的評価方法か配当還元方式を適用できるかが判定される。

同族株主とは、課税時期における評価会社の株主の内、株主の1人及びその同族関係者(法人税法施行令第4条に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいう。以下同じ。)の有する議決権の合計数がその会社に議決権総数の30%以上である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう。

なお、この場合において、その評価会社の株主の内、株主の1人及びその同族関係者のゆうすつ議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の50%超である会社にあっては、50%超のその株主及びその同族関係者をいう。

(イ)役員とは、下記に掲げる者をいう。

社長、理事長のほか、次に掲げる者(法人税法施行令第71条第1項第1号、第2号、第4号)

㋑代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人

㋺副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員

㋩取締役(委員会設置会社の取締役に限る。)、会計参与及び監査役並びに理事

(ロ)上記(イ)より、財産評価基本通達上の役員には、委員会設置会社以外の会社における一般の取締役は原則として含まれないこととなる。監査役は、常に財産評価基本通達上の役員に該当する。

(ハ)上記(イ)に関する役員に該当するか否かの判定は、下記の時点又は時期による状況による。

㋑課税時期において役員である者

㋺課税時期の翌日から法定申告期限までの間に役員となる者

株式に関する権利(190~193)

⑤出資(194~196)。