[事実関係]

 原告は、借家権を取得し、整地費用を支出し、借地の耐用年数を30年と仮定して、決算期毎にその整地費用60分の1ずつを減価償却費として計上し、係争事業年度においても整地費につき減価償却をした。税務署長は、整地費用についての減価償却の計上を否認した。

裁判所は、「原告法人は建物所有の目的で借地権を取得し、その後借地上に建築その他の設備をするため、整地費として3万2,911円50銭の支出をなした上、右借地の耐用年数を30年と仮定して、決算期(半年)毎にその敷地の60分の1ずつを減価償却費として計上し、第1係争事業年度において、右整地費につき540円の減価償却費をなしていることが認められ、右認定に反する証拠はない。

然しながら、法人税法上減価償却の認められるのは有形及び無形の固定資産に限られ、整地費については減価償却が認められないのであるから、整地費について減価償却をなしこれを減価償却として計上している原告法人の計算は妥当ではない。

従って税務署長がこれを否認し、申告所得金額に加算した措置は相当である」とした(名古屋地判昭和41年2月8日)。

[解説]

 土地には価値属性は備わっていない。土地は所有しているだけで現金留保を産むのではない。土地に現金を投下して、生産手段にして貸与し、労働力商品を購入し、労働を疎外して、疎外した労働分を生産手段たる土地に転嫁して、生産した商品と現金商品を交換して、又は土地と現金商品を交換して現金留保に価値属性が付与されて土地の価値属性が実体あるものと社会に認めさせる。

土地への現金の投下は搾取の源泉となる。投融資を受けたことによる現金留保義務が課されていなければ譲渡の名義を有する実体は、配当所得となり、資産の取得価額名目は、投資であり、原価とはならない。

減価償却は、法人の資本家の所有する資本関係を土台に、法を創造する権利を得て、取得した資本関係を土台にした現金留保義務、中央銀行を所有する民間銀行への投融資、紙幣発行銀行の出資設立ができるという既存の経済関係、経済過程を原因に、法を規定して、労働を疎外して減価償却という方便を社会に実体あるものと認めざるを得なくさせ現金留保を蓄積してきたという過程がある。

更地、底地は労働を疎外して搾取利得を得ること、現金留保を永続できるから、現金の流出のない、実体のない費用の費用計上を認めさせなくとも現金留保ができるから、減価償却は規定されていない。

目的は実体がないから、減価償却を規定する土台とはならない。

土地が地盤が弱く建物を建築して労働を疎外して現金留保できないということであれば現金を支出して地盤を固めた費用は構築物の取得価額となるが、地盤を強化して建物を建築し労働を疎外して現金留保できるのであれば、、整地費用は、建物建築して労働を疎外して現金を留保することの土台となったすれば、土地の取得価額ということになり、減価償却は行うことができないということになる。