[事実関係]
検察官は、法人税法違反被告事件につき、被告法人の法人税ホ逋脱事件において、旧利息制限法に違反する貸付けに係る制限超過利息についても益金を構成すると申し立てた。
被告の弁護人は、旧利息制限法においては、制限超過の利息は、裁判上無効であったが、現行法上は「法律上無効」とされるに至ったところ、債務者が超過利息を任意に支払った場合は、その返還を請求することができないものの、この任意に支払った超過利息についても、元本を任意に支払った超過利息についても、元本債務が現存する限り元本の弁済に充当されるべきものであるにもかかわらず、本件貸金については制限に超過する最低月5分を下らない約定利率により利子所得を算定し、公訴に係る各事業年度の所得金額が課税処分上認定されているとし、かかる点は、課税の対象となる所得計算の基礎に誤りを犯していると主張した。
裁判所は、「金銭を目的とする消費貸借上の利息又は損害金の契約は、その額が利息制限法1条、4条の各1項に定められた利率によって計算した金額を超えるときは、その超過部分につき無効であるが、債務者が、それを任意に支払ったときは、その後において、その契約の無効を主張し、既にした給付の返還を請求することができないばかりでなく、結果においても返還を受けたと同一の経済的利益を生ずるような、残存元本への充当も許されないものと解すべきであることは、当裁判所の判例(昭和35(オ)1023号、同37年6月13日大法定判決)の示すところである」とし、当該利息債権は、法人税法上の所得に当たるとした(最判昭和37年8月23日)。
[解説]
超過利息を債務者が払う払わないをその意思で規定することはできず、資本関係上債務者は法定超過利息分についても支払わざるを得ない。
国際金融資本家は、貸金業者に、所有する金融機関を通じて投融資を行い、全資本家が拠出した現金からなる国庫との資本関係を土台に法を規定し、債務者が支払った法定利息超過分は、返還請求できず、元本に充当できないことを認めさせることに成功してしまった。
債務者が知っていたか否かは実体がないから、法定超過利息が収益、益金となるかの土台とはなり得ない。
利息債権を有する法人の資本家は、現実に、労働を疎外して現金を留保しているから、労働者に支払を転嫁させているから、貸金法人の留保現金に法人税法22条1項が包摂される。時間という属性が付与され、約定の履行期になった場合、債務者が支払いを行うかもしれないという期待は、実体がないから、収益実現、益金算入の問題の土台とはなりえない。
利息制限法を超過する貸金業を業としている所得税法上又は法人税法上の法人に投融資している金融機関に出資しているのは国際金融資本である。国際金融資本家は、資本関係のある貸付法人が、利息制限法超過部分については、現金留保が確定し、収益が実現したが、司法を使用して現金留保できなかったと主張し、現金留保の確定を社会に認めさせることに成功させなかったことにより、所得税法上の収益として計上しないで、現金留保することに成功したのである。