[事実関係]
原告法人は、昭和28年10月31日以前に数社に紡績糸を売却した。10月31日が土曜日であり、翌々日の11月2日に検収がされたところから、原告は検収日基準を採用し、11月2日、すなわち翌事業年度の売上に計上した。
税務署長は、発送日基準によって売上を計上すべきであるとして更正処分を行った。原告は、「取引は検収により量目を確定し品質を見定め、適格品か否かを買主が調査し、ここで初めて成立する。製品積送中は便宜納品伝票を使用しても未だ原告の商品としてこれを棚卸商品に計上することは正当な処理であって、その間天候その他不測の事故等により目減変質するような場合もある。
又、原告のような中小会社に税務署長主張のような受注即売上という一流紡績会社の商慣習はあてはまらず、需要者側の一方的意思により取引の成否を決する商慣習である」と主張する。
裁判所は、
「法人税の課税標準たる各事業年度の総益金から総損金を控除した金額ではあるが、資産の売買に関し右総益金又は総損金の内容となる各個の益金又は損金がどの事業年度に所層するかについては、法人税法関係法令上直接には実定法規が存しないので合目的的解釈によりこれを決すべきであるところ、法人税法取扱基本通達第249号の指針するとおり原則として売買契約の効力の発生の日の属する事業年度の益金又は損金に算入し、但し、商品製品の販売にあっては取引の実情、経理事務の慣行に照らし、引渡の時を含む事業年度の益金又は損金に算入することができるとするのが、法人の経営上の決算目的並びに法人の納税すべき金額を決定する目的からみて、偶然に左右されることを排除し、客観的に妥当であると解せられる。
しかして右売買契約の効力発生の日の後にして引渡の時以前の一定時期であるならば、例えば引渡物件を特定した時又は引渡物件を発送した時或は引渡の条件を完了した時等のうち任意の一時期を特定しその時の事業年度の益金又は損金に算入することもまた結局は右の権利確定主義乃至は権利確定主義に則るものとして何ら妨げないものと云うべきである。
しかしながら、当該益金又は損金に算入する会計処理方法をとる以上は、法人課税所得の申告の公正を保障する見地から、みだりに一部取引についてのみ損金算入の時期を殊更別異の時期とすることが許されないのは云うまでもないころである。
証人の証言によれば、原告法人においては、従来製品発送の時期に売上を計上し益金に算入する会計処理方法をとっていたことが認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。右各売掛金は右原告法人の会計処理方法に従い右発送の日昭和28年10月31日の属する当該事業年度の益金に算入すべきであり、従ってこれに対応する各棚卸価額もまた同事業年度の損金に算入すべきものとするのが相当であると認められる」とした(京都地判昭和34年1月31日)。
[解説]
法の目的を初め、目的は実体がなく、法を規定するのは金融資本家であって、合目的的解釈は、金融資本家の資本関係、現金留保義務にのみ基づいた、経済実体のない方便に沿って解釈するということになる。
収益金、費用損失の計上は、現実の経済実体に基づいて計上されるのであって、経理事務の慣行によって規定されるのではなく、国際金融資本家、法人の資本家の任意ではなく、経済実体が生ずることに偶然はありえず、収益金、損失金の計上が偶然に左右されることはありえない。
損失のリスクは実体のない方便である。取引は意思によって規定されるのではない。慣行によって規定されるのではない。経済関係によって規定される。このことを土台に法人税法22条1項は規定されている。
収益金、損失金は、決算の目的、税額算定の目的から計上されるのではなく、金融資本家は時間という属性を付与し、決算確定と納税は、各経済実体、法人の資本家に意思はなく、課し、課されている資本関係上、経済関係上、生産関係上、法律上義務付けられたものである。
観念や通念や全ての実体に備わっていない属性によって損益の計上が規定されるのではない。公正という実体のない属性を付与して損益の計上時期が規定されるのではない。
みだりに損益の計上を現実の経済過程と異なって計上しうるか否かの問題は成立しえない。現実には金融資本家の資本関係、現金留保義務から規定された会計基準から選択せざるを得なくても、各法人の資本家がみだりに会計基準と異なる基準を採用できるか、作用した基準を変更できるかという問題は成立しえない。
資産の発送及び運搬という経済実体を伴わない取引は、経済実体、経済関係により規定された売買契約の権利義務を実体あるものと社会に認めさせることに成功させることを余儀なくされ、契約上、契約の義務が課せられ、現金商品を交換により得て属性を付与して現金留保金額、商品に付与された価値の実体が確定され、現金を源泉に労働の疎外ができることが確定することとなった最初の段階に収益を計上することになる。
効力という期待という実体のないものが実体化されて収益が実現、確定するのではない。労働力商品の提供を含む商品取引は、商品引渡しという経済実体に基づいた段階においては、既に労働は疎外されており、現金商品と交換されることが確定し、現金商品に価値属性が付与されて、商品に付与された属性が実体あるものと社会に認めさせ、留保が確定した現金を投下し労働を疎外するのができるのであって、商品、現金商品の売主は金融資本家との資本関係から課せられた義務から商品、現金商品を引渡し、売主、買主に交換、引渡し、受領に意思はなく、売主、買主の意思に関係なく、商品の売主は、経済課程の内、商品発送という経済実体により規定された段階において収益が実現し、現金商品の売主は、出荷されたとう経済実体に基づいた段階で、原価の実現は確定しないが、棚卸商品の取得が実現する。
買主側が、購入した、商品、労働力商品に現金を投下して、労働を疎外して購入した商品に転嫁することができる最初の段階であるが、商品には属性は備わっておらず、商品を所有しているだけでは現金を留保できず、商品の属性から規定はできず、売主買主の意思に関係なく、既存の現実の現金投下、労働疎外という生産関係、経済関係により規定された契約に基づき、現金を投下して労働を疎外できることを検収すること検収後に付与された商品と現金商品の属性が実体化するというのであれば、現実に買主が現金を投下し労働を疎外が確定した段階、試運転名目の段階が、売主の収益、買主の損金が実現するのであるが、現実には、金融資本家の資本関係、現金留保義務から規定されている。