[事実関係]
原告法人は、平成8年1月24日を契約の始期とするリース契約を売買として取扱い、リース設備を減価償却して法人所得を申告したところ、税務署長は、リース契約を賃貸借として取扱い、減価償却を否認して更正処分を行った。
裁判所は、
「本件リース通達は、売買として取扱うリース取引を五つに類型化しているが、その内容は、リース契約であることを前提とした上、リース期間経過後はリース物件を無償で譲渡する等とか、リース物件が不動産等や当該賃借人しか使用できない機械装置等であるとか、リース物件が特定できないとか、リース期間がリース物件の法定耐用年数に比べて相当短く定められ、将来は賃借人がリース物件を選択権を有するものであって、リース期間経過後にリース会社に返還され廃棄されることが明らかでないものであるから、いずれも、法形式上は賃貸借契約の形式をとっているものの、その経済的実質からすれば、売買とするのが相当であって、これらのものを売買として取扱うとした本件リース通達は、実質課税の原則に即した合理的なものということができるし、リース取引について、これらのもの以外は、税法上もその法形式を尊重し、賃貸借として取扱うべきであるということができる。
リース会計基準は、リース取引の中には、その経済的実態が、当該物件を売買した場合と同様の状態があると認められるものがかなり増加しており、このようなリース取引について、これを賃貸借取引として処理することは、その取引実態を的確に反映するものとは言い難いことから、リース取引に関する会計処理及び開示方法を総合的に見直し、公正妥当な会計基準を設定するために、企業会計審議会において、リース取引の実態並びにこれに関する我が国及び諸外国の会計実務等を調査検討した上でとりまとめられたものである。そうすると、リース会計基準は、現実には、証券取引法の適用を受ける法人が行う財務諸表の作成について、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準として機能するといえるものの、リース取引の実態を財務諸表に的確に反映させるためにリース会計基準が設定・公表された経緯からすれば、証券取引法の適用を受けない法人が行う財務諸表の作成についても、同様に、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準として機能するものと認めるのが相当であるか、これが直ちに課税上の取扱いについて定められた基準であるとはいえない」とする(福岡地判平成11年12月11日)。
[解説]
現金留保の過程は、法を媒介に社会に認めさせざるを得ない。法律上の権利と経済上の権利が異なるということはありえない。
法は、法のタイトルのみではない。各条文の規定が法である。契約のタイトルだけで法と実体が異なるとは規定できない。
賃借人の経済関係上、現金留保義務に基づいて、
①賃借人は、災害その他やむを得ない事由に基づき賃貸人の承諾を得た場合を除き解約できないこと、
②契約した義務以外に使用できないこと、賃貸人の承諾なしに改造、主要という属性の付与された部品の取替、リース契約を更新できないこと、
③リース期間の属性付与を契約により実体化したところは、法定耐用年数という属性付与より短いが、改造、取替後も所有権は賃貸人が有していること、
④契約には「通常の取壊し、解体、搬出のための費用は」とあり、これらがあった場合は賃貸人が費用を負担するという義務が規定されていて、通常という属性が付与され、費用の目的を言っているから取壊し、解体、搬出に実体はないが、賃貸人はリース契約が当該リース設備を引き揚げることが契約上規定されていることから、当該生産手段を所有しない法人の資本家、労働者は、リース法人の資本家が投下した生産手段を貸与され、労働を疎外して賃貸料名目の金銭を支払わざるを得ないという生産関係上、契約したことによって、使用する権利は認めさせたが、所有権を社会に認めさせることには成功していない。
裁判所は、通達が平成10年の改定を持ち出して本件リース通達が公正妥当であることを裏付ける。
法人税法、当該事例においては法人税法施行令136条の3は、立法前には、立法の土台となった事実確定、問題抽出提起が行われておらず、立法前に遡及して適用することは、金融資本家が経済実体のない課税ができてしまうから、リース契約の過程において、現実に現金留保を流出することを源泉とし、労働の疎外という経済実体が、リースであるという事実確定の原因たる土台となって、法人税法22条、64条の2第3項が包摂されて又は包摂されずに、留保現金に付与した価値属性を実体化させ、課税の根拠となるのであって、税務行政機関が金融資本家との生産関係上の義務から通達を適用した場合と結論が同じであっても、当該リース契約以後改定された規定の存在を持ち出すことが処分の根拠とはなりえない。
現金留保を土台に、現金留保を疎外して国際金融資本家が現金留保を蓄積をするという既存の課税関係、課税の過程からすれば、22条のいう公正妥当というのは実体のない属性付与であり、22条は、現金留保の現実の実体に基づいて会計という法律行為をせざるを得ないと解され、現金留保の疎外には課税関係、過程に鑑みれば、制約があると22条は解されるのである。
通達、国際会計基準、FASB基準、企業会計基準は、国際金融資本家が資本関係、国際金融資本家の現金留保義務に基づいて規定し、通達と上記の会計基準のみしか採用できないとこを法律によって社会に認めさせることには成功していないが、現実には、日本の法人の資本家、資本の源泉を遡れば所得税法上の法人たる国際金融資本家は、通達と上記の会計基準の何れかに応ずることを余儀なくされている。
しかし、国際会計基準、FASB基準、企業会計審議会名義の会計基準と通達の何れかを採用することは各法人の自由意思という方便を使用し、会計手続の煩瑣という方便を使用することで、国際金融資本家は、現実の経済実体に基づかず、資本関係、現金留保の移転を土台とした金融資本家に課された現金留保義務に基づいて、納税者の現金留保を疎外して、留保現金に価値属性を付与して所得を規定し、立法し、課税を通じて所得税法上の法人たる国際金融資本家の現金留保を蓄積し、国際金融資本家の規定した会計基準、通達、所得に公正妥当の価値属性を実体化したのである。
裁判所は法の成立の土台事実について全く述べていないわけではないが、目的は意思であり、義務という実体がなく、実体のない法の目的と交渉することは、原則や基準に依存することは、経済実体、経済関係に遡らないということである。