棚卸資産の委託販売による収益の額は、当該受託者が委託品を販売した事業年度の益金に算入されることとされている。委託販売の場合、当該委託品の売上計算書が売上の都度(週、旬、月を単位として一括したものも含まれる)作成されて送付されるときは、金融資本家と税務行政機関との生産関係上、税務行政機関はこれを認めざるを得ない。売上計算書については、電話やメールによる売上の連絡が売上計算書の作成送付に含まれるかという問題がある。売上計算書、請求書は、金融資本家が経済過程に付与した時間という属性から見れば、資産を引渡した時点で、必ずしも発行されるものではなく、販売者に投融資をする資本家の現金留保に応じて計算書、請求書が発行送付されることが可能である。交換により取得する現金商品、現金留保の価値属性付与が確定しない内に資産を引き渡すことは、金融資本家に課された現金留保義務から見れば成立しえない。電話やメールでの売上報告は、仮のもので、売上計算書が作成されて手数料、販売経費が正確に確定されると主張しても、現実には、引渡しが済んで同じ商品の既往の実績や金融資本家の経済関係、資本関係を土台にして課された販売法人の現金留保義務に基づいた内規に基づいて見積もりができれば、電話やメールで資産を引き渡した旨の連絡があった日に収益計上をせざるを得なくさせられるであろう。しかし、通達は生産関係上の義務であって、金融資本家が資本関係、現金留保義務に基づいて規定した実定法によって通達と異なる取り扱いをして社会に認めさせることができるからである。