所得法は事業所得を、営利を目的に継続的に行われる資産の譲渡(所得税法33条2項)とし、儲けるために売るということを目的としているかを事業所得と譲渡所得の相違としているが、現実に搾取利得を得ていれば事業所得であって譲渡所得も事業所得であり、実体のない目的によって両者の相違を規定することはできない。

既存の資本関係、現金留保義務、経済関係を土台に自らの使用人の労働、原材料供給元の労働者の労働を疎外して生産した商品、役務提供、資本家自らの使用人と他の資本家の労働者の労働を疎外して取得した商品を引渡して現金を得て、手離した商品の属性を実体あるものとして社会に認めさせる過程を事業所得という。

生産手段を持たない者は、投融資を受けたことによる国際金融資本家との既存の資本関係、現金留保義務のみならず既存の経済関係を原因に現金を投融資し、所得税法上の法人にならざるを得ない。

所得税法上の法人は、金融資本家との既存の資本関係、それを土台に課せられた現金留保義務、経済関係により、製造元、購入先の労働を疎外して取得した生産手段たる固定資本、発行法人の使用人の労働を疎外して取得した架空資本を購入して産業を行い、投融資先の労働者の労働を疎外して現金を留保せざるを得ない。

購入した資産が固定資本か商品か架空資本かは経済関係、資本関係、現金留保義務に規定される。それら固定資本、架空資本を引き渡し、現金商品を得て手離した架空資本、固定資本に付与された属性を実体あるものとして社会に認めさせる過程を譲渡所得という。

譲渡所得も事業所得も資産を引き渡した後、労働力という属性を付与して賃金を労働者に支払うという過程を経て搾取利得たる現金を留保する。

固定資本の譲渡と架空資本の譲渡については、自らの使用する労働者との間の生産関係に基づいた労働を疎外する生産を加えずに、譲渡される。

しかし、卸も小売も自らの使用人との生産関係による労働の疎外である生産は行われず、購入労働、販売労働の疎外だけが行われる。

金融資本家によって規定された価値属性によって引渡しをせざるを得ないことは事業所得、譲渡所得とも同じである。

譲渡は何ら資本関係、経済関係の土台を持たずに譲渡されることはないから、譲渡所得が偶発するということはありえず、継続か偶発かは事業と譲渡の相違とすることはできない。

事業所得と譲渡所得の相違は、固定資本や架空資本を譲渡し、譲渡先に投融資を行う金融資本家の資本関係、現金留保義務を土台に規定されており、金融資本家の現金留保、産業資本家を買収すること、産業資本家が利子配当租税の支払を労働者に転嫁することの土台となっているのである。