不動産賃貸業は、現金の投資を源泉とするが、労働を土台としない所得で借主の使用する労働者から搾取するところは、金融資本経済以前と異ならないが、金融資本経済が発達した現在では、金融資本家が現実の土地建物の所有者となり、金融資本家がその所有する土地建物を売却し、取得した地主、家主に投融資する。
しかし、入居者の資本家が使用する給与労働者、他の資本家が所有する給与には経済関係、生産関係を土台に搾取が行われ、給与所得者よりは担税力がある。原状回復工事をして新入居者に明け渡すのは、借主に瑕疵があったことを原因とする部分以外は、借地借家権上、貸主の義務であるが、新入居者が現状回復費用を負担したり、新入居者の入居部分の外壁も併せて、外壁塗装を行った場合、金融資本家から投融資を受けた劣後金融資本家、産業資本家が所有する法人が新入居者であった場合、新入居者が借地権、営業権を主張することがある。これにより最も利得を有するのは地代の一時金支払を免れた入居法人の資本家であり、貸主は現実に地代の前取りができないだけで、課税関係は譲渡所得に該当しないかぎり生じることはなく、月々の地代は収受するから、最も搾取されるのは、月額地代と借主法人の受贈益課税が転嫁される入居法人資本家の労働者である。
利子配当と共に労働者に支払が転嫁されるから法人は地代の支払によって現実には損していない。借主が、巷間個人と呼ばれる、法人登記をしていない者で、所得税法の適用を受ける者であれば、使用貸借の場合、相当の地代を支払っているという属性を与えられた場合以外、贈与税が課される。金融資本家と生産関係のある税務署長は、借地権が成立したとの事実認定、評価という恣意を伴うから事実認定を行って、権利金の存在を認定して貸主に課税を行うことがある。
修繕は、現実には、全て資産の取得なのであるが、損金算入を認めることにより、減価償却資産台帳の登録することを免れさせ、借地権、営業権の主張をさせてきた事実があるのである。貸主が所得税法上の事業者である場合、原状回復費を全額負担しても、借主に生産手段の貸付を行っていることによる生産関係上の貸主の義務であり、借地借家法上の義務であるから、借主の側に瑕疵がなければ、貸主が法人である場合と同じく、寄附金をはなり得ないし、現金の贈与と認定されても、貸主が法人の場合と異なり、所得税法上は、寄附金の損金不算入にかかる規定は存在しないから、法人の側には受贈益課税は行われ、所得税法上の事業者たる貸主には課税は行い得ないが、借主の瑕疵のあった部分を借主が負担しなかった場合には、貸主の経済関係に基づいて退去させる場合の立退料の減額事由に当たるとの主張を認めさせることに成功し、立退料の契約を超える金額を支払わずに計上した場合、経済を土台に契約が成立するという過程から、貸主の側は経済土台のない費用ということで、必要経費の算入を否認されることとなる。