所得税法33条1項は、資産の譲渡による所得を譲渡所得と規定する。
敷衍すると、
(所得税法33条)
譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は、賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものも含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。
2. 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一、たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡による所得
二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
と規定されている。
33条の条文中、目的とあるのは、実体化されているものに限ると解さなければならないであろう。
所得が実現することと資産を手離すことは同じことではないと言えるであろう。
実現は、発生した所得が別のもの、又は具体的な何かに形を変えて所得の形を変えて所得を計れるようになることではない。
現金やその他資産に価値という属性は備わっていない。現金やその他の資産は、引き渡された商品、取得した商品の価値を図る尺度ではない。現金やその他資産が価値を規定するのではない。現金を源泉とする所得を規定するのではない。
現金は商品であり、現金その他資産と交換される。現金を投下して現金を得る。労働の疎外を土台とした価値を規定したところを実体化するのは、資本関係と資本関係を土台とする現金留保義務である。現存する金融資本家にも事業承継を用いて投融資した者がいるから、ここにも資本関係は存在する。
金融機関、中央銀行を出資設立した者にも、預金した者がいる。労働の疎外を土台とした預金が既存の資本関係を土台とした産業資本家へ更にはその労働力への投融資のフィクションに回されて、当初預金された金融機関の現金残高からなくなれば、現金が現実になくても、出資設立をフィクションした銀行に債券をフィクションさせ、出資設立をフィクションさせた中央銀行に紙幣の発行をフィクションさせて、存在していることにせざるを得ない。
担保を売却して現金を留保する。再投資を行う。投融資先が産業所得を原資に資本家の集まりたる国家に投融資すれば、紙幣発行銀行を認めさせることができるから、また、既存の中央銀行の株式を購入できてしまうから、中央銀行を設立した資本は、現金を増刷させることができなくなり、所有する金融機関の現金留保義務を土台に投融資を受けざるを得なくなりつつある過程を経て、現金留保義務を土台に資本関係を土台に資本関係により、労働を無償にして、利子配当という、実体のない紙切れを実体化した現金に備わっていない価値を付与して現金が価値を産み出したという方便により現金留保を得る。
現金を手離して、現金を得る。取得現金に労働を疎外したところの価値属性を込めて手離した現金の価値を現金商品と交換し、労働の疎外を土台とした増殖させた価値を現実に留保することを確定し、増殖した価値を実体があると法を媒介に社会に認めさせた。
他の資本家に投資制限を設ける。資本関係を土台に準備金制度を認めさせ、投融資先の搾取の源泉、生産手段たる現金留保を超える現金を発行し投融資する。オフショアの設立を資本関係を土台に認めさせ、他の資本家に現金を所有させない。
現金その他の資産を手離して、現金を得て、資本関係、資本家の現金留保義務に基づいて取得した現金に価値属性を込めてそれを現実に留保することを確定したことで、手離した資産の価値が実体があると法を媒介に社会に認めさせる。
現金は、資本関係、現金留保義務により価値が規定されるから、投資とリターン、交換によって得られた現金に込められた価値属性は常に同じではない。
誰が持っていていることを擬制されてもその額面通りの価値があるというものではなく、値上がりや値下がりがないという見解は、現実の資本を土台とする経済とは乖離している。
現金それ自体が他のモノや利益の価値を測る尺度だからここでいう資産には当たらないという説明は、現実の資本を土台とする労働疎外による経済から乖離する。現金は商品である。交換される現金商品である。資産である。生産手段である。
配当、譲渡の土台、源泉となる資産である。資産は所有しているだけでは現金留保を産まない。キャピタルゲインは欺瞞である。現金に価値属性を込めて現金を手離して投下して、労働を疎外して、資本関係を土台に、現金を得て留保しすることを確定して、実体があるとし、そこに価値属性を込めて、手離した現金の価値を契約を媒介に実体を社会に認めさせるのであるから、譲渡の認定すなわち評価がされているもの、すなわち属性を与えられているものは、現実には収受したものに付された価値全てが配当である。
現物出資は現実にも現物出資であって譲渡ではない。現実には法人税法上の配当の土台となる配当である。
現実には配当であるものが、資本関係、現金留保義務を土台に譲渡所得の属性が与えられている。代物弁済であろうと、現物出資であろうと、引き渡された資産の当初取得時に現金を投下しており、現金投下を源泉とする労働の疎外を土台とする現金の取得、留保の確定と法による、実体のない価値の実体化である。
譲渡所得について、未実現の収益には課税しないということとしているのは、立法政策を土台としているのではない。
現実に投下した現金から現金留保をしていないから、納税義務の土台となる現金留保が実体がないからである。資本関係、現金留保義務、経済関係を土台に、資産の引渡しを行わざるを得ないから、人に意思はない。
代物弁済であろうと現物出資であろうと担保権の実施であろうとそこに自由意思はない。現金留保が納税の土台であって、支配が土台ではない。
現金の投融資を源泉に資産を購入し、労働を疎外し、資産を手離し、現金商品と交換し、取得した現金により手離した資産に付与された価値属性を実体あるものにしたものの内、経済関係を土台にせず、自らが他の実体に投融資をフィクションしたことによる資本関係、資本関係を源泉とした、直接に労働力を購入することなく、労働の疎外を委ね、現金留保義務を土台に、資産を手離して労働を疎外して現金商品を得る義務により実体化したものは、経済上は、配当であって、配当以外のものが、経済上、譲渡所得になると解されると思われる。