[事実関係]
金融業及び不動産、有価証券の所有を業とする法人は、増資によって自己株式を発行し、主として代表者が引受け、更に持株を譲渡した。
主に代表者から株式を譲り受けた者で、株式を譲渡した者には、一旦、法人が株式代金の全額を立替払いをし、株式の譲り受けた者は日賦又は月賦で代金を弁済することと規定されていた。
株式代金を完済した者は法人から額面金額の3倍の融資を受けることができ、融資を受けなかった者には、株主優待金名義で一定の金銭を支払っていた。
国税局長は、配当とは、商法上の配当に限らず、およそ法人の純資産が出資者に利益を与えることによって減少する限り出資者に対する利益の授与は全て所得税法にいう配当と解すべきであるから、株式優待金は配当に該当し、法人は源泉徴収義務があるとして決定処分を行った。
判決は、所得税法中には利益配当の概念として、特に商法の前提とする、取引社会における利益配当の観念と異なる観念を採用しているのと認む規定がないとし、所得税法の利益配当とは、必ずしも、商法の規定に従って適法になされたものにかぎらず、商法が規制の対象とし、商法の見地からは不適法であるとされる配当の如きも所得税法上の利益配当の内に含まれるものと解すべきとした上で、原審の確定する事実によれば、本件株主優待金なるものは、損益計算上利益に有無にかかわらず支払われるものであり株金額の出資に対する利益金として支払われるものとは断定し難く、前記取引社会取引社会における利益配当と同一性質であるとはにわかに認め難いものであるとする(最判昭和35年10月7日)。
[解説]
搾取の土台となる現金を投資し、所有する法人の現金留保を原資に、資本関係すなわち現実に投融資したという既成の事実関係に基づいて支払われたのであるから、配当原資たる現金留保がなくとも、搾取の土台となる現金を投資されたことを土台支払わざるを得ないのことを配当の土台にする。内部留保を構成するものは貸借対照表上現金だけではないが、これらの資産すなわち生産物は架空資本たる現金商品と交換されることを金融資本家が資本関係を土台に法規定により社会に認めさせることに成功しているから現金留保と言っている。
利益を分配する土台となる資本関係を事実確定の土台とはならないということではない。損益計算上利益の有無に関わらず支払われるものではないこと、損益計算の結果としての利益配当のように見えるという外観を有しているか否かが配当であるという事実を確定する土台になるのではない。
国際金融資本家は、事業承継過程を土台とする資本関係、生産関係、又は生産集団内の生産関係を土台に投融資を行わざるを得ず、投融資先の現金留保を土台に投融資するのではない。
現金留保のない法人にも投融資を行い、利息と配当という方便により、労働者を搾取し、借入返済に陥らせ、担保資産を収奪し、他の産業資本に譲渡し、買収し、高く売り、売却先に投融資し、現金留保を膨張させ、他の資本家に現金を留保させなかった。
投融資先の現金留保がなくとも投融資の額を減らさない。商法上の蛸配当といわれるものは、現実には出資金の返還ではない。
投融資金額を減らすことなく、現金留保を得たのであるから、経済利得は存在する。法人資本家の使用人である役員が法人資本家の投融資した現金を、役員自らの生産集団内の生産関係を土台とする役員の現金留保過程すなわち現金留保義務に基づいて使用することができず、法人資本家が、投融資した法人に生産関係を土台とした給与支払以外に、現金留保が減少させることは、資本関係、現金留保義務からは成立し得ない。
金融資本家以外の者に現金を留保させないことを、商法の規定により社会に認めさせた。留保利益である現金留保の移転を規定するのは、株主の地位ではなく、資本関係である。融資をしている金融機関に投融資をしている金融資本家との間にも資本関係は存する。
資本、生産手段を有する役員が受領した生産関係を土台に労働の疎外、配当、債務弁済後に、労働に価値属性を付与して現金を交付することにより実体あるものにした以外の支出は、現実には疎外した所有法人と経済関係のある法人の労働に価値を付与する前に、各資本家は配当原資を確定して所有し、租税を支払い、労働者に価値属性を付与して給与を支払い、法人税を労働者に転嫁するが、法人税を支払った後の利益からの利益の分配、移転であるとしている。
法人税が国際金融資本家に転嫁されているとの方便により、法人は、個々の資本家の集まりではあるが、意思は持たず、金融資本家との資本関係から経済関係、現金を留保せざるを得ず、法律行為を媒介にそれを権利として実体あるものにして社会に認めさせざるを得ないにもかかわらず、法人は個々の株主の集まりで実体がなく、擬制されたものにすぎないとして、持株会社の受取配当金を益金不算入として所得から控除し、併せて所得税額控除という税の減免を受ける。
オフショア法人に送金し、そこから配当を受けて所得税の負担を免れる。持株会社を所有する国際資本家は法人税の負担を免れている。二重課税を受けているのは労働者である。
国際金融資本家に所有された法人の支払配当を損金不算入にして、個人株主を増やすという法人資本家の実体のない方便たる目的に基づいて、株主優待制度によって個人が受ける利益を、損益に関係なく現実には資本関係に基づいて支払わざるを得ないものを配当所得ではないとの属性を、金融資本家は資本関係、生産関係のある全資本家の使用人である、金融資本経済の促進する土台となる税務行政機関を使用して認めさせている。
資産は所有しているだけでは現金留保を産まない。労働を疎外することによって現金留保を産む。
国際金融資本家は、損益計算上の利益のあるなしによって配当されてきたという現象面、法則や実体のない株主優待制度の目的から配当か否かを規定し、残余財産の分配について、当該法人に投融資した金額を超える部分の金額の内、みなし配当以外の部分を譲渡損益であるとする規定をフィクションし、組織再編を行った場合の株式の交付、交換の際に、資本家への配当であるとはせずに、適格組織再編の属性を与えて、現実には労働の疎外である生ぜじめた差額を譲渡損益として、譲渡するまで課税を繰り延べられ、組織再編という資本関係を土台に取得した架空資本に低い価値属性を与えて、第三者に手離して課税を免れているのである。第三者に投融資することで、当初の投融資元本を所有し続けて利子配当を得て現金留保を継続している。
第三者は関係法人となる。労働を疎外して取得した株式に付与された実体のない属性を手離して、現金を取得し、現金に価値属性を付与して、投融資した架空資本の価値が実体あるものとしているから、現実には所有法人にとって配当原資であり、搾取の土台となる所有法人の現金留保の分配を所有法人の現金留保を基礎として受けながら、譲渡所得として税負担を軽減しているのである。 投融資先の法人の現金留保を持分によって按分した現金留保が、投融資した元本を上回る部分を利子配当というのではない。
金融資本家が現金に価値属性を込め、投資し、投融資先が受けた現金に金融資本家が価値属性を込めて、証書を受取り、投資した現金の価値属性が実体あることを社会に認めさせ、投融資した現金を土台に、労働を疎外して、投融資した現金を留保していれば得られたであろうという、現実には金融資本家の現金留保義務を土台とした利益率という実体のない価値を時間という属性を使用して規定したのが利子で、労働を疎外して金融資本家の現金留保義務を土台とした配当性向という実体のない価値を、労働を疎外した留保現金を原資に、資本関係によって現金で支払われ、それにより現現金を得た資本家が、資本関係により価値を現金に付与して、投融資した現金の価値を実体あるものにして、契約を媒介に社会に認めさせたものが配当である。
金融資本家は、現実には配当所得であるにもかかわらず、投融資元本を収益から控除して税負担を免れているのである。